コラムNo.104 マニュアルは嫌いという人の本質

 

 人材育成で難しいのは、「スタッフひとりひとりの性格も能力も違う」ということです。だから育成マニュアルを作っても無駄だという社長も結構多いのですが、これは全くの考え違いです。むしろひとりひとりが違うからこそ、その基礎となるマニュアルが必要とされるのです。

 

 ずっと社長一人が教え続ければまだいいですが、そのうち回らなくなってきます。そこで唐突に店長等にスタッフの育成を任せることになります。しかし、何回もお伝えしている通り属人的なスタッフ育成は結果に大きく差が生まれ、店舗のレベルが不安定となり、比例して業績も不安定となります。そうならないためにも育成マニュアルが店舗の軸となるように位置付けなければなりません。

 

 育成マニュアルはスタッフの経験や能力に合わせて「基本プラン」と「応用プラン」に分け、場合によってはそれをカスタマイズすることも必要になってきます。今回はこの「基本プラン」を見ていくことにしましょう。

 

 「基本プラン」は店舗で「必ずやるべき業務」と「なぜそれをやるのか」をセットにしたうえで「求められるレベル」まで網羅し、さらに「うまくやるコツ」「失敗しやすい部分」「トレーニング方法」などを盛り込むことで、どんな新人でもわかりやすくかつ一定の成果が出やすいものになります。

 

 単なる業務マニュアルでは、事務的、機械的な業務の羅列となっていることも多く、パッと見てわかりにくいうえに読んでいても面白くもなんともない場合がほとんどです。「育成マニュアル」というからには育つ、つまり知識、できることが増え、視野が広がり、高い視座で仕事を行い、成果を生み出せるようになることが要請されます。

 

 業務に特化した「業務マニュアル」は当然あってしかるべきですが、「育成マニュアル」はその業務と店舗理念を融合させ、業務レベルはもとより、内面的にも成長させる内容にすることが肝心なのです。

 

「育成マニュアル」は店舗の成長を促す基盤となる最重要の要素です。「マニュアルは事務的で嫌い」という経営者ほど、自身の仕事を崇高かつ簡単に言葉にできず、誰でも教えられるものではないと勘違いしています。結局何も考えていないのです。明文化できるものはすべて明文化するべきであり、その先に店舗の新たな成長が始まるのです。

 

 社長自ら属人化の道をたどるのは愚の骨頂だといえるでしょう。属人化の対義語は明文化とも言えます。自分しか教えられないというのは単なる甘えであり、思考の弱さであり、詰めの甘さであり、思い上がりにすぎません。

 

 店舗経営者の皆さん。

仕事やその思いを明文化していますか?

それは本当に自分にしかできないことですか?