コラムNo.110 仕事の過程を評価しない店舗の末路

 

 店舗ビジネスでは、通常の給与とは別にいわゆる「インセンティブ」を取り入れることが店舗の成否を分ける非常に重要なポイントとなります。インセンティブとは、簡単に言えば成果報酬となりますが、実際そう単純でもなく、金銭的な報酬のほか、成果を上げたスタッフを褒めることもまたインセンティブの一種と言えます。

 

 スタッフの「やる気自体」はどう頑張っても作れませんが、少しでも仕事に対する意欲があれば、インセンティブによって動機づけし、そこを伸ばすことでスタッフの成長と店舗の業績アップに直結させることができます。

 

 この点、仕事の結果に対するインセンティブはもちろん、その過程にもさまざまなインセンティブを用いることが、制度として機能するカギと言えるでしょう。

 

 「結果」はほとんどの場合コントロール不可能です。ただし結果を出すための行動が評価されると当然その行動は強化されますので、良い結果が出やすい状態となります。そうなると結果を出す確率、回数が増え、結果を出す喜びを知り、さらに行動に結びつくという好循環となります。

 

 単純に売上をこれだけ取ったらいくらの報奨金、というのも悪くはないのですが、それだけでは大体の場合、店舗現場は荒んできます。売上は結果のひとつであり、コントロール不可能な部分も多くあります。「売上だけ」を評価してしまうと、売上を無理やり取るために自分勝手な個人行動が多くなり、お互いに協力しなくなるのです。次いで成果の横取りも始まります。さらにお客様の取り合いも始まります。

 

 ですので、インセンティブの制度設計の際には、その「過程」をしっかりと見、評価する軸が必要であり、その上で結果に対しても報奨金などを設定するべきなのです。

 

 インセンティブが全くないのも問題ですが、その設計が間違っているとないよりも悪い結果になることもあります。私がこれまで関わった会社でも、当初は売上が上がった分に対して何%など、単純な報奨金の設定をされているところが多いのが実情です。そしてほとんどの会社ではあまり制度が機能せず、ほったらかしにされ、現場の雰囲気が悪くなっているか、やめてしまうかの状態となっているのです。

 

 インセンティブ制度は「過程」と「結果」の双方をバランスよく評価することが成功の秘訣です。そして言わずもがなですが、「過程」と「結果」を評価するためには、当然「目標」がないと始まりません。適正な目標をつくるには、店舗の仕事やスタッフの実力を客観的かつ詳細に把握しておく必要があり、そうでなければ確実に絵に描いた餅となります。

 

 そもそもの大前提として、店舗の仕事を言語化し、スタッフの実力を図る仕組みがなければ、適当なインセンティブ制度はすぐに機能しなくなり破綻するのです。思い付きで取り入れるような簡単な制度ではありません。しかし、取り入れなければ店舗の成功は覚束ないということは冒頭にも述べた通りです。

 

 店舗経営者の皆さん。

インセンティブ制度を取り入れていますか?

その報償には根拠がありますか?