コラムNo.111 福利厚生費は投資

   店舗ビジネスをはじめ、あらゆる業種業態を営む企業では、従業員に対しての金銭的な報酬以外に、「福利厚生」としてのさまざまな報酬を用意しておくことは、この人手不足の折、非常に重要な人材戦略といえるでしょう。

 

 福利厚生とは、インセンティブ制度などのいわゆる成果報酬とは別で、企業に属する従業員(企業によってはその家族まで)であれば利用できる、会社が提供するさまざまなサービスのことです。

 

 福利厚生は法定福利厚生と法定外福利厚生とに分かれ、法定福利厚生に関しては法律で義務付けられている健康保険や厚生年金保険などです。この部分は義務であるため、一部の場合を除いて基本的に強制加入となります。

 

 したがって各企業が考えるべきは法定外福利厚生の部分であり、最も身近なものは「住宅手当・家賃補助」「食事補助」「人間ドック」「育児や介護に関わるもの」になるでしょう。さらに宿泊施設、フィットネスなどの優待や社内旅行、社内運動会など多種多様なサービスがあります。

 

 現在は福利厚生サービスのアウトソーシング事業も豊富にあり、各企業が費用を負担することで、福利厚生を外部企業に委託し、自前で資産を持っていなくても多くのサービスを受けることができるような仕組みとなっています。すでに複数の企業がサービスを提供しており、月会費は従業員一人当たり数百円で、会員数も個人ベースで数百万人とかなりの規模となっています。

 

 別に福利厚生の外部委託を進めているわけではありませんが、一つの可能性としては考えておいてもいいでしょう。求職者は給与もそうですが、福利厚生面も重視しています。給与だけでは他社との差別化も難しく、給与額を上げていくにも限界があります。

 

 この点、資産を持たない小規模な企業でも、外部委託で福利厚生を提供できるのであれば、給与を上げるよりもリスクは少なく、かつ従業員満足も向上しやすくなります。

 

 何が言いたいのかというと、柔軟な発想で、「従業員のために何ができるのか」を考えることが絶対的に必要だということです。もちろん法定福利厚生でいっぱいいっぱいの企業や、それすらままならないという小さな店舗も多く存在するでしょう。

 

 しかし、いつまでたっても保険すら払えないという企業は、必ず自然淘汰されていきます。まずは法定福利厚生をしっかりと制度化し、法定外福利厚生を設計していくことが経営者の務めなのです。

 

 最初は少しの手当でも、その一歩が肝心です。少人数の懇親会でも、まずやることが重要なのです。経営者の皆さん。会社の福利厚生を戦略的に考えていますか?