コラムNo.113 いくらまで貸してくれますか?

 小さなお店や企業の資金調達方法には、あまり選択の余地はありません。上場するほどの企業であれば、IPOで広く資金を募ることも可能であり、社債の発行や都市銀行から有利な利息で借入をすることも難しくないでしょう。

 

 しかしながら、冒頭でお伝えしたとおり、中小零細企業ではそう簡単に資金の調達はできず、主だった方法と言えば、日本政策金融公庫や商工組合中央金庫などの公的な金融機関や地域の信用金庫、信用組合、あるいは地方銀行からの借入が多いのではないでしょうか。

 

 ただし、借入をするにしても、もともと財務基盤がぜい弱な中小零細企業においては、借入希望額での審査が通らないこともままあります。ですから、借入をする際には、その時に思い立って動き出すのではなく、しっかりとした計画に基づいた行動が必要になってくるのです。

 

 この点、金融機関は自社に対してどれくらいまで貸してくれるのだろうか?という視点を持ち、その額をある程度把握しておくことは重要です。

 

 この「いくらまで貸してくれるのか」の一つの目安として挙げられるのが「債務償還年数」です。そう難しく考えることはなく、債務償還年数とは、借金を何年で返せるのかを表した数値です。数式では、

 

債務償還年数=(有利子負債-正常運転資金)/キャッシュフロー

 

 で表されます。この式についても細かく分ければさまざまな計算の仕方がありますが、基本的には上記の考え方で問題ありません。要は、年間の利益や減価償却費などを合わせた現預金で、何年かけて完済できるのかを見るための指標です。

 

 業種や会社の置かれた状況により、当然例外はありますが、債務償還年数として一般的に「10年」が基準として見られることが多いようです。つまり、会社が生み出すキャッシュで10年以内に完済できるのであれば、その額までは金融機関が貸してくれる可能性は高いということです。

 

 このように資金調達の視点から見ても、経営者の皆さんは、自社がいくら利益を出し、いくらのキャッシュを生み出しているのかを正確に把握しておく必要があるということです。「私は財務のことはわからない。すべて任せてある。」という経営者も多いと思いますが、はっきり言ってそれではダメです。少なくとも財務諸表くらいは読めるようになりましょう。私に言わせれば、これは経営者の義務です。

 

 数字に弱い経営者の会社は遅からず淘汰されるでしょう。手遅れにならないためにも、今日、今から数字の確認をしましょう。どの会社にとっても間違いなく、財務諸表は経営判断の礎となるものなのです。