コラムNo.116 借入金の使い道

 

 店舗ビジネス事業者をはじめ、各企業ではその事業経営において「お金」を借りることは至極当然の日常業務といえます。基本的に運転資金や設備資金の調達のために借入を行うことがほとんどでしょう。運転資金や設備投資は事業経営を回していく、あるいは事業を大きくしていくためのお金です。

 

 これはつまり「投資」のために借入をしているということに他なりません。「投資」とは簡単に言うと資源(時間、労力、お金)を投入し、それ以上のプラスを生み出すことです。企業経営は投資の連続であり、運転資金も投資の一種と言えます。返済のための借入は何も生み出しませんが、まっとうな投資のためであれば、むしろ借入をしない方がリスクだとも言えるでしょう(企業にも個人にも言えることですね)。

 

 無論、潤沢な自己資金があれば、借り入れに頼らずその範囲内で投資をし、無借金経営を貫くことも可能であり、それは何ら悪いことではありません。ただし、企業経営に関わらず、想定外のことはどこでも誰でも起こりえます。その際、自己資金だけで賄いきれない場合は借入をするほかなく、金融機関との関係性がまったく構築できていなければ、あっさり倒産…ということにもなりかねません。

 

 その意味では、何回もお伝えしている通り、金融機関に対して、ある程度の借入実績をつくっておくべきでしょう。

 

 さて、投資という意味では、運転資金や設備投資を差し置いてもしなければならないことに「人材に対しての投資」が挙げられます。給与や賞与、報奨金などの労働への対価とは別に、その人自身を直接、間接的に成長させること、例えば研修やセミナー、専門学校、留学などに対して予算を組み、投資することです。基本的に、人への投資はローリスク、ハイリターンであり、投資効率の面でも積極的に行うべきことでしょう。

 

 しかしながら、人材に対しての投資を予算化している企業は少なく、そもそも育成の計画もないようなところも多く存在します。「研修など無駄!」「留学の前に売上!」「そんなお金はない!」という声が聞こえてきそうですが、企業経営の柱は「人」です。あまりにも当然のことで言うのも憚られますが、採用しっぱなしで人が育つことはなく、知識の習得や動機づけ、スキルアップなどにお金はもちろん、労力、時間といった資源を投入するのは経営者として必須の仕事なのです。

 

 お金の使い道を決めることができるのは経営者だけです。あなたが投資する判断をしなければ、誰も決めることはできません。運転資金、設備投資と同様に、当たり前のこととして「人材に対しての投資」を行いましょう。これは手元資金に余裕があるからすることではなく、「借入」をしてでもすべき、経営の最優先事項なのです。