コラムNo.119 ダメな経営者はセンスがない

 

 店舗ビジネスにおける経営者の「お金」の使い方にはさまざまなものがありますが、一つ確実に言えるのは経営者のセンスが如実に表れるということです。人材育成に使うのか、広告宣伝に使うのか、はたまた私用なのに経費で高級車を買うのか… センスとは感性と同義であり、経験や持って生まれた感受性と積み重ねられた感情が融合して培われ、論理的、合理的とは正反対に位置する意味の言葉と言えます。

 

 人間の感情としては「喜怒哀楽」が知られています。喜怒哀楽と相関するのが「好き嫌い」といった価値基準です。センスとはそれらのものが複雑に絡み合い、幾重にも層をなして成立しているものと言えるでしょう。

 

 ここで疑問の余地が生まれます。経営者はセンスなどといった不明確で説明不能な判断基準ではなく、合理的な判断でお金を使うのではないか?… 確かにその一面もあります。しかし、最終的な決断はセンスによるのです。欧米の脳科学研究では、事故や病気で感情をつかさどる脳の部位が欠損した患者は、物事を「決断」することができなくなる事例が確認されています。

 

 脳科学を持ち出さずとも、「好き嫌い」で判断する経営者を知らない人はいないでしょう。一見合理的に見える判断でも、実際のところは好き嫌いで判断している…あるいは経営者自身で意識せずとも、その根源には好き嫌いや喜怒哀楽といった感情が間違いなく存在します。

 

 つまり、ごく当たり前の結論になってしまいますが、経営者はどんなきれいごとを言ったとしても、結局「好き」な物事にはお金を使い、「嫌い」あるいは「興味がない」物事にはお金を使わないということです(個人でもそうですが)。

 

 センスは人それぞれで基本的に正解や間違いはありません(人に迷惑をかけないことが前提です)。しかしセンスは事の成否に重大な影響を及ぼします。どれだけ感情を排し、論理的、合理的に判断したとしても、好き嫌いやセンスが根っこにあり、誰しも逃れることはできないのです。ことほど左様にセンスが事の成否に大きく関わるということは、経営者(個人)がすべきはセンスを磨きあげていくことです。

 

 あらゆることに興味を持ち、経験し、感情を揺さぶられることでセンスは磨かれていきます。人から見て「センスがある人」の共通点は考え方が柔軟で好奇心が強いことです。センスは魅力を生み出し、魅力は人を引き付けます。経営者にとって、人を引き付ける魅力は絶対的に必要なものです。冒頭でお伝えしたようにお金の使い方にもセンスが表れ、そこに共感したお客様やスタッフが多ければ多いほど会社としても成功していくのです。

 

 経営者の皆さんにとって、センスを磨くことは義務とも言えます。センスはお金の使い方だけでなく、すべての経営判断に影響することを肝に銘じ、あらゆることに好奇心をもって接していただきたいと思います。