コラムNo.120 社長、ご自身の報酬はどうやって決めていますか?

 

 経営者の報酬額に適正な金額はあるのでしょうか。理論的には、年間の損益を細かく予測したうえで、個人の所得税や社会保険、会社の法人税などを勘案し、経営者自身が望む着地点、つまりどこにお金を残したいかを基準にし、計算することで適正な金額は導き出されます。

 

 と、このままだとここで話が終わってしまいます。実際、上記のように役員報酬を機械的に決めている会社もありますが、私がこれまで関わった会社を見てみると結構適当に決めているところも多いようです。

 

 個人事業主の場合は、事業の利益と自分の収入はイコール(業績連動)となり、報酬という概念はありませんが、法人化した場合、役員報酬として損金扱いされるためには、事業年度が始まって3か月以内に金額(定期同額)を決める必要があります。

 

 役員報酬があまりに適当な額だとPLBSにも悪影響を与え、無駄に税金を払うことにもなりかねません。一方であまりにガチガチに決めてしまっても、経営者としても面白くなく、業績向上に対する意欲が低下する可能性もあります。

 

 私が考える適正な役員報酬額は「業績連動」ですが、これについては基本的に適用できるのが非同族会社のみに限定されており、大半が同族会社である中小企業には使えません。

 

 さてどうすればいいでしょうか。先述のように役員報酬の場合は年度の初期に決める必要があるため、やはりしっかりと損益などを考慮したうえで、自分が適正だと思う金額を設定するほかありません。ただし、一つだけ条件があります。それは「経営者の報酬額を従業員が聞いたときに納得してもらえるか」ということです。

 

 社長はあんなに報酬をもらっているのに、なぜ私たちの給与はこんなに少ないのか… ばかばかしくてやっていられない… と思われては企業の存続に関わります(急激に業績が伸びた企業によく見受けられます)。だからといって、清貧を気取って従業員と同じか低い額にしてもあまりに夢がありません。

 

 曲がりなりにも社長はリスクを取って経営をしています。起業時の初期投資は当然として、従業員には働く場を提供し、現預金が足りない場合は借金しながらでも給料や社会保険など払っているでしょう。それ以外にも経営者には様々な問題が降りかかり、解決を迫られます。このことを考えれば、経営者は従業員よりも「ある程度」高額の報酬をもらってもかまわないし、もらうべきだと私は思います(利益の範囲内で)。

 

 重要なのはバランス感覚です。経営者と従業員の最適な着地点を見出すことも経営者の能力の一つなのです。バランスが崩れると会社は傾きます。こと報酬一つとっても理屈だけで答えが出ることはなく、緻密な計算とともに「バランス感覚」を養い、活かす必要があるのです。この点、経営がアートと言われる所以でもあります。

 

さて経営者の皆さん。

 

 従業員に自分の報酬額を堂々と開示できますか?

 なぜその額なのか説明できますか?

 従業員はそれに納得していますか?