コラムNo.133 意外と答えられない「今、何が売れ筋?」

 

 店舗ビジネスで扱う商品は、大きく「モノ」と「サービス」に分かれます。「モノ」を扱うのは小売業、飲食業などが代表的ですね。「サービス」を扱うのは美容業、マッサージ業などが挙げられます。

 

 「モノ」を扱う店舗では、基本的に在庫が発生し、機会ロスと廃棄ロスが最小になる適正在庫を維持する必要があります。一方で「サービス」を扱う店舗の場合、在庫がないわけではありませんが、売上のメインは提供するサービスであり、在庫管理の重要性は小売業ほど高くありません。

 

 さて、ごく当たり前の話を進めてきました。ここで私が言いたいのは、「モノ」と「サービス」の違いや「在庫管理の重要性」にかかわらず、店舗経営の大前提である「自店では何が売れているのか」「何が支持されているのか」が明確になっていない店舗が意外なほど多いということです。

 

 店舗ビジネスでは、自店を特徴づける「商品」が必要です。「○○と言えば○○」という風に、顧客の頭の中に入りこみ、それを維持していくには「何でも屋」では話になりません。特に経営資源が少ない中小企業では、商品を絞り込まなければ大手や近隣の中小店舗との競争に勝てることはまずありません。

 

 どの店舗も開業直後は「うちの売りはこれだ!」としてある程度他店と差別化した商品を提供していたと思われます。しかし月日が経つと「あれがあったほうがいいんじゃないか」、「他ではこれが売れているからうちも取り扱いを始めよう」となり、あれよあれよという間に商品数が増大、在庫が増えてくるという事態になります。

 

 在庫が増えた分、売上が上がればいいのですが、ほとんどのケースでそううまくいきません。余剰在庫となり、最後は不良在庫となって処分せざるを得なくなります。

 

 在庫のないサービス業でも同じことが言えます。サービスの種類が増えればそれだけ従業員に負担がかかります。負担がかかる割には利益になかなか結びつかず、技術的にも一般レベルにすら届かない凡庸なサービスで、差別化には程遠い状態となります。結果、新たに得たサービス技術は使う機会がほとんどない不良在庫として眠らされます。

 

 「自店の売り」が分かっていなければ、確実に廃業への道をたどることになります。これは扱う商品がモノでもサービスでも同様であり、在庫の有無は全く関係ありません。本来売るべき商品が、他のどうでもいい思いつきの商品によって機会を奪われ、比較対象が多くなることで魅力が薄まることは、モノでもサービスでも業績に対し相当な悪影響を及ぼすのです。

 

 まず店舗経営者がすべきは自店の売れ筋を知ることであり、それを誰でも見えるようにすることです。経営者の頭の中にはある程度刻み込まれていたとしても、従業員はわかっていません。お客様にも伝わっていないかもしれません。また、経営者の思い違いも実際は多くあります。思い違いは強化する商品を間違えることにつながり、経営資源の無駄遣いとして会社の寿命を間違いなく縮めます。

 

 繰り返しますが、まずは自店の売れ筋を知る。そのうえで商品を絞り込む。そうすると当然過剰だった在庫は減少し、ムダが少なくなります。在庫管理が先には来ません。売ること、あるいは高い確率で売れることを前提に在庫を揃える。サービス業でも商品を絞り込んだ方が効率も良く、スタッフ教育も容易になり、スキルも上がりやすく、顧客満足につながります。

 

 さて、店舗経営者の皆さん。

自店の売れ筋を把握していますか?

あれもこれも仕入れていませんか?