コラムNo.135 経営指標をあてにするな

 

 店舗ビジネス経営者にとって、各種の経営指標を使って自社の経営状態を把握することは非常に重要な仕事の一つです。一方で、それらの数字にとらわれすぎてもダメで、いわゆる「分析バカ」となると、分析が一つの目的になってしまい、本末転倒な状態となります。

 

 安全性や収益性、生産性といった括りで分けられた数多くの指標は当然参考にはなります。しかしながら、誤解を恐れずに言えば、それらの数値は単に過去の数字をいじくりまわしただけのものです。業界の基準値なども存在しますが、会社は一つ一つ違います。あまり気にし過ぎても自社にとって合わない数値を目標にしてしまっては元も子もありません。

 

 昨今の「人の健康診断」でも言われることで、「予防に役立っていない」「意味のない検査がある」「基準値に根拠がない」などの意見が出てきています。健康診断自体、まったく意味がないとは言いませんが、現状、その有効性には多少の疑問が浮かび上がってきています。

 

 大体メタボな人は見てわかりますし、自分が太っていることを健康診断で初めて知った!という人はほとんどいないでしょう。それ以外の基準値も眉唾もので、会社と同じく自分の体に合った数値があるはずです。その数値内に抑えるために投薬されるなど、逆に体を壊す要因にもなりかねません(これは診断する医者、会社で言えばコンサルタントにも問題があります)。

 

 自分の健康状態や生活習慣は自分がよくわかっています。その結果が「人」では健康診断の各数値であり、「会社」では各種の経営指標と言えるでしょう。会社も人と同じです。わざわざ指標を持ち出さずとも、その状態は良かれ悪しかれ表面に必ず現れます。

 

 暴飲暴食をすれば、翌日体調が悪くなり、その生活が続くといずれ体を壊し、入院、さらには最悪…といったように、会社も同様で、ムダな経費を垂れ流し、放漫経営を続ければ間違いなく経営状態は悪化します。

 

 それまでの経緯も現在の状態も経営者が一番わかっているのです。「指標を見て初めて知った」というような間抜けな経営者は即刻退場を迫られるでしょう。わざわざ計算しなくとも、自分の会社の状態くらい常に把握しておかなければ、経営者の資格などありません。

 

 自社の状態を肌で感じ取り、それを数値で補完できればベストです。数値が先にはきません。数値は結果でしかないのです。結果のもとになるのは、それまでの生活習慣、つまり「経営の仕方」であり「お金の集め方、使い方」です。

 

 会社の経営状態のすべての責任は経営者にあります。筋肉質なのか、メタボなのか。その体質は経営者の判断の積み重ねで決定されるのです。