コラムNo.141 経営計画と定着率

 

 店舗経営においては、いつの時代もそうですが特に現在は「人」の重要性が増しています。少子化でどの仕事でも慢性的な人手不足となっており、「業績悪化」ではなく、「人手不足」による倒産も徐々に増えつつあります。「人が集まらない」会社はこの先、さらに厳しい状況に陥るのは間違いないでしょう。

 

 飲食業など、もともと業種的に人が集まりにくい業界の状況はもっと酷く、人気店とそうでない店の格差は広がり、自分がひいきにしていた店が、ある日突然店を閉めていた…ということも残念ながら増えてくると考えられます。

 

 この状況の中、店舗経営者がすべきことは「今いるスタッフ」を大事にすることです。「何を言っているんだ!」「うちは当然大事にしているし、長く続けてくれている!」といった声が聞こえてきそうですが、スタッフの方は本当にそう思っているでしょうか。

 

 私もアパレル販売会社の経営者として経験がありますが、こちらが全幅の信頼をおいていたベテランスタッフから「社長、ちょっとお話が…」と突然退職の話を切り出されることは少なくありませんでした。

 

 当然私の至らなさもあると思います。それまでコミュニケーションも頻繁に取り、情報収集もまめに行っていたつもりでしたが、退職を願い出るスタッフが次々と出てきました。待遇も競合他社に対して遜色ないように気を付けていたにもかかわらず、続けざまにスタッフが退職することに、彼らに対して不信感さえ抱くようになっていました。

 

 今冷静に考えれば、スタッフが悪いことはなく、100%私の経営がまずかったと思います。何も考えず、世間話程度でスタッフとコミュニケーションをとったつもりになり、形だけのキャリアアップシステムで安心し、単なる自己満足経営に過ぎなかった面が多々ありました。

 

 店舗ビジネス経営者としての経験上、スタッフの退職理由として一番に挙げられるのは、「将来に対する不安」です。会社の規模や業種によって変わってくると思いますが、退職理由としては共通する部分も多いのではないでしょうか。

 

 「この会社は将来どうなっていくのか」言い換えれば「この社長は会社の将来をどう考え、何をどう実践していくのか」となります。つまり、はっきりと言語化した「経営計画」が軸としてなければならず、さらにそれを一言一句漏らさずスタッフと共有することが重要なのです。

 

 私も将来の計画を作っていなかったわけではないのですが、情熱をもって本気で伝えていたかとなると自信がありません。もちろんそれだけで直接的に定着率が上がったり、求人の応募が増えることは少ないかもしれません。しかし、スタッフに将来を語ることは絶対的に必要なことなのです。この先どうなるかわからない会社に、また経営者には誰もついてこないのです。

 

 店舗経営者の皆さん。

スタッフに将来の夢を語っていますか?

その夢を現実的な計画に落とし込んでいますか?