コラムNo.144 名前を呼んでいますか?

 

 店舗ビジネスにおいて「人材育成」を効果的に行うためには、何回もお伝えしている通り、「信頼関係の構築」が最も重要なことの一つとして挙げられます。その「信頼関係の構築」に際して、何をすればよいのか。言葉だけ信頼関係などといっても、よくわかっていない経営者や店舗責任者は非常に多く存在します。

 

 信頼関係を構築する際の具体的な行動の一つに、「相手の存在を認める」ということがあります。「ん?」「何を言っているんだ?」という声が聞こえてきそうですが、私はできていない人の方が多いと感じています。

 

 例えば「名前を呼ぶ」ということです。「そんなの当り前だろう!」と言われそうですが、これが実際はなかなかできていないのです。自分の行動を振り返ってみてください。最初に呼ぶ時こそ名前を言っているかもしれませんが、会話の最中にほとんど名前が入っていないことに気づくでしょう。

 

 「名前を呼ぶ」ことは、それがストレートに相手の感情を揺さぶるということはありませんが、呼ばれた相手にとっては、確実に呼んでくれた人に対しての「小さな好意」が積み重ねられていきます。これはボディーブローのようにじわじわと効き、呼ばれた相手は無意識のうちに仲間意識を持ちます。名前を呼ぶ方も繰り返すことで同様の効果はあると考えられます。

 

 別の例では「顔を見て挨拶をする」があります。この行動も実はできていない人がかなりの割合で存在します。よくあるのがパソコンの画面を見ながら声だけで「ざーす」と言うだけで軽い会話もなし、という状況でしょう。日常の挨拶に「顔を見る」ことをプラスするだけで全く違う好印象になることを知らない人が多いのでしょう。非常にもったいない話です。

 

 また、特に用がない時でも「軽く声をかける」ことも重要です。あなたの存在をしっかりと認めていますよというメッセージにもなり、相手も嬉しく感じるものです(多忙な場合は逆効果)。「最近頑張っているみたいだね」というありきたりな台詞でも全く問題ありません。相手は顔にこそ出しませんが、確実に「嬉しい」感情が沸き起こっています。

 

 簡単な例を挙げましたが、経営者や店舗責任者はこれらの「相手の存在を認める」行動を戦略的に取っていく必要があると私は思います。「そんなわざとらしくはできない」「何か打算的に感じる」という意見もあるとは思いますが、繰り返し行動することで間違いなく自分の習慣となります。なにより、最初はどんなにわざとらしくても相手は嬉しく感じています。

 

 ボランティア活動でよく言われる、「やらない善よりもやる偽善」という言葉(言葉の良し悪しは別にして)と同じく、自分の感情はとりあえず抜きにして、まずは相手にとってプラスとなる行動がとれるかどうかです。それが打算であれ、相手が嬉しく思えばいいのではないでしょうか。経営者の方には、あまり固く考えず、恥ずかしがらずに行動で示していただきたいと思います。