コラムNo.150 業界を知らない経営者

 

 店舗ビジネスに限らず、どんな業種でも「人材育成のベース」として従業員の「視野を広げる」ことは必須項目となります。「視野を広げる」とはつまり「外を知る」ということであり、自社以外の外部環境を把握することです。

 

 ところが、中小零細企業で働く大半の従業員は「外」に対して興味がありません。自社が関連する業界、ライバル企業、取引先、顧客などの過去から将来に向けての動向を知ろうともしていないのです。もちろん、日々の仕事の中で接する細かい「点の情報」は持っていますが、そこから意味を見出し、自分の考えを派生していくことはなく、「へー」で終わりです。最悪の場合、報告すらしません。

 

 例えば飲食店であれば、顧客が発する「これだったらあそこの店がおいしいよ」「なんかここ高くなったね」「うるさいからもう出ようか」などの声には、かなり重要な意味が隠されており、それを耳にしたスタッフは必ず店長に報告すべきです。

 

 しかし、社員、アルバイト問わず、そもそも興味がないために聞き流し、そのまま放置する店舗が非常に多いと感じます。自店の中、しかも顧客の情報ですらそうなのですから、ライバル企業や取引先にいたっては言わずもがなであり、そんな店舗の行く末が明るいはずもありません。

 

 こうなってしまう要因の最たるものは、経営者自身の視野の狭さです。そもそも経営者が外部に対して興味を持っていない、あるいは悪い意味で「うちはうち、よそはよそ」と距離を置いているせいで、スタッフも同様な考えになってしまっているのです。

 

 そうならないためには、まずは経営者自身が「今後この業界はどうなっていくのか」ということを現場や周辺、そしてマクロなデータから調査分析するべきだと私は思います。行き当たりばったりで何の計画性もない店舗ビジネス経営者は、私の経験から判断すれば8割以上です。その多くは上手くいっていません。

 

 経営者が興味を持たないものにスタッフが興味を持つはずがありません。繰り返しますが、まずは経営者が業界について興味を持ち、先行きについての自分の考えをスタッフに漏れなく伝えなければなりません。

 

 その上で、さらに効果的なのはスタッフたちにも業界を、ライバル企業を、取引先を調べさせ、社内で発表させることです。アウトプットすることはインプットだけよりも自身の理解度も進み、記憶も定着しやすくなります。それが徐々に自分事となって普段の仕事にも反映されるようになるのです。

 

 自社の業界、ひどい場合は自社のことすら知らない、知ろうともしない経営者は意外に多く存在します。このメルマガを読んでいる経営者の方はぜひ率先して「視野を広げる」行動をしていただきたいと思います。