コラムNo.152 モグラたたきが好きならヤバい

 

 店舗ビジネスでは、日常の些細なことから、経営を揺るがすような大きなことまで様々な「問題」が発生します。それはお客様からクレームの形で表面化することもあれば、スタッフの気づき、あるいは誰もが把握しているが常態化しており、問題として認識されず当たり前となっていることなど、表れ方や形態もさまざまです。

 

 具体的には、購入した商品が不良品だった…  異物が混入していた… 店員の愛想が悪かった… スタッフの遅刻が多い… 近隣店舗にお客が流れて売上が減少した… 年末年始のバイトが集まらない… 仕入先が倒産した… などなど、これら以外にも店舗に関わる問題は雨後の筍のように次から次へと現れ、山積していきます。

 

 さて、店舗経営者の皆さん。これらの問題をその都度解決していませんか? いわゆる対症療法で解決した気分になっていませんか? 上記の問題に対して、商品のチェックを厳しくする、愛想が悪い店員や遅刻した店員をその都度注意する、近隣店舗より商品を安く提供する、年末年始は家族に手伝ってもらう、とりあえず似たものを扱う仕入先を見つける…といったことをしていませんか?

 

 もし対症療法でとりあえず問題を解決している場合は(そもそも解決ではないですが)、同じようなことがすぐに問題として発生します。つまりこのやり方では毎回同じことを繰り返さなければならず、「永遠のモグラたたき」をする羽目になるのです。

 

 その結果現場は疲弊し、当然経営者も疲弊します。売上は思うように上がらず、問題が新たな問題を引き起こす状態となるのです。ましてそのままの状態で新店をオープンさせるようなことになれば、状況の悪化は加速していきます。

 

 この状況を回避するためには「本質的問題」を発見し、解決するほかありません。「本質的問題」とは、あらゆる問題の根っこにある大本であり、根本原因と言い換えることもできます。ここを潰さない限り、同じような問題が次々に発生し、時間も、労力も、お金も吸い取られていくのです。

 

 本質的問題の発見には、何が必要なのでしょうか。それは物事を「抽象化」する思考です。抽象化とは物事の共通項をあぶり出し、要約する力のことです。日常に現れる様々な問題は、抽象化することで、えてして一つや二つの本質的問題に集約されます。

 

 「抽象化」、簡単に言えば「これは要するにどういうことなのか」と思考するクセを身に着けておくことは経営者としての必須要件になります。永遠に出てくる細かな問題を対症療法的に処理することでその場で解決したような雰囲気になり、気持ちよくなっている経営者や現場責任者は多く存在します。それを見て勘違いしたスタッフもすごい!こうすればいいのかと同じ過ちを繰り返します。

 

 「風邪を引いたから風邪薬を飲む」ことが対症療法の最たるものです。本質的問題としては、偏った食事や運動不足、不規則な生活習慣などに集約されるでしょう。本質的問題を解決せず、その場しのぎで風邪薬を飲んだとしても、またすぐに体調を崩す可能性が高いのは誰が考えてもわかるはずです。

 

 経営者の皆さん。会社の風邪に効く風邪薬はありません。風邪を引いた原因、つまり本質的問題を発見できる「抽象化思考」を鍛えるようにしてください。ムダなモグラたたきはゲームにすらならないのです。