コラムNo.153 あなたの店は誰に来てほしいのか

 

 店舗ビジネスにおいて、基本的かつ非常に重要な戦略の一つに「ターゲットの明確化」があります。「何を今さら」「そんなの誰でもわかっている」「やっていないところなどないだろう」と言う声が聞こえてきそうですが、私の経験で判断すれば、過半数以上は明確なターゲット設定をしていません。

 

 創業時など、資金調達のために事業計画を立てる必要がある場合には、当然ターゲットを決め明文化しなければなりません。しかしその大半は記入欄を埋めるために“とりあえず”書いているだけで、事業がスタートした後はきれいさっぱり忘れ去られます。

 

 もちろん最初から「来てほしいお客様」が上手く来てくれるとは限りません。むしろ全く違う客層になることがほとんどでしょう。だからターゲットを明確化しても無意味ということではなく、そのズレを知ることが肝心なのです。

 

 「理想」と「現実」には当然ギャップが発生し、顧客にもそれが当てはまります。ここが重要なところですが、そのギャップを知らなければ、決して事業として成長することはなく、それどころか高い確率で「失敗」します。

 

 「来てほしいお客様」が設定されておらず、「来た人がお客様」で店舗を運営した場合、ほぼ間違いなく「商品」も「サービス」もブレにブレます。「来てほしいお客様」に提供するために商品やサービスを開発していなければ、自分の嗜好に寄りすぎる、あるいはお客様の嗜好に寄りすぎる両極端な店舗運営になってしまい、早い段階で支持されなくなるのです。

 

 一方で店舗の運営には軌道修正も必要です。理想とするターゲットの来店があったとしても、少なすぎればターゲットの幅を広げる必要があります。また、ターゲットの来店はまったくないが、想定外のお客様が多く来店され、売上も順調に伸びていく場合も「結果オーライ」ではなく、一歩立ち止まって、このままいくのか、あるいはターゲットに向けて商品やサービスを見直すのか判断しなければなりません。

 

 いずれにしても、考える「軸」としてターゲットの明確化がしてなければ、勘に頼った適当な判断で、その時々の流れに身を任せるしかないのです。

 

 お客様が店を利用する理由のひとつに「客層」があります。自分と価値観の合いそうな客層が来ていれば安心して利用できますが、自分にとってあまり好ましくないお客様が混じっていれば、それだけで足が遠のくのです(お客様は言いませんが)。

 

 特に小さな店の場合、誰もがお客様ではなく、ターゲットを絞り込んで運営したほうが結果的に業績は高まる場合が多くあります。店舗経営者の皆さんがすべき最初の一歩は、ターゲットの明確化です。ちょうど年が明けたタイミングですので、見直してみてはいかがでしょうか。