コラムNo.155 お客様の名前を知っていますか?

 店舗でよくある失敗に、集客は何とかできたものの、せっかくご来店されたお客様がリピートせず、顧客化できなかったということがあります。この最大の要因は、店舗に「顧客化の仕組み」がつくられていないことです。「顧客化の仕組み」とはお客様が自店の情報を得て来店し、継続利用するまでの一連の流れを「型」として機能させることです。

 

 「顧客化の仕組み」の中で最も基本的で重要なことは「お客様に連絡できる」状況をつくりあげることです。それには当たり前ですが「顧客情報」を知らなければ何もできません。

 

 しかしながらチラシや雑誌広告などで集客し、幸運にもお客様が多数ご来店されたにもかかわらず「顧客情報」を集めないままお帰り頂くパターンが非常に多いと感じます。例えば飲食店で「おいしいものを提供すればお客様は必ずリピートしてくれる」と無邪気に本気で考えている経営者は私の体感的にも多く、お客様に対してこちらからアピールできる最も重要な「顧客情報」つまり「連絡先」を聞かないまま帰してしまう場面には数えきれないほど遭遇しました。

 

 店舗がいわゆる「ザル」の状態で、お客様が来店し、利用されたとしても「ありがとうございました」と送り出すのみで何もしない。これは非常にもったいないことで、一度利用されたお客様はかなりの確率で「顧客」になりえます。それを何もせず、次のご来店をただ待つのみという姿勢でいることは商売人失格です。お客様に対して失礼ですらあります。

 

 今は連絡先とはいっても、SNSで気軽に集めることができます。本来ならもっと詳細な情報が欲しいところですが、顧客化のきっかけとしては十分でしょう。いずれの商売でも、何かしらの特典をつけてSNSの登録を促す戦略は珍しいことではありません。

 

 ただし、SNSは気軽に登録できる半面、気軽に解除されます。特典を使う時だけ登録しておき、使った後は「用なし」としてすぐに解除する行動も当たり前となっています。これには店舗側の責任もあり、「毎日毎時の多すぎる発信」「役に立たないスカスカな内容」「割引クーポンの乱発」で自ら価値を下げています。私の考えでは中小店舗のSNSでの発信は多くとも週12回、内容はお客様の「役に立つ情報」にするのは当然で、割引クーポンは年4回程度に抑えるべきです。

 

 お客様がすでに数回来店されている場合は、SNSだけではなくもっと詳細な個人情報をいただくべきであり、「上顧客」としてサービスを差別化する必要があります。上顧客と一見客のサービスが同じでは、絶対に商売は上手くいきません。

 

 ともあれ、商売の基本はお客様の「連絡先」を知ることです。それすらできていない店舗は、今この時から連絡先を聞くようにしてください。店舗ビジネスに限らず、お客様がいなければ商売は成り立たないのです。