コラムNo.157 どこまで自前でやるか

 店舗ビジネスにはさまざまな業種業態がありますが、基本的にBtoCの形を取り、自店がモノ・サービスなどの「何か」を最終消費者である一般客に提供し、対価を得ることで商売が成り立っています。

 

 至極当然の話をすると、店舗ビジネスでは自店の提供するモノ・サービスである「何か」が最も重要な差別化要素であり、業績の成否を担っています。例えば、飲食店であれば提供する飲食物、美容室であればカット技術、小売店であれば、他店にはない特徴的な品揃え…ということになります。

 

 さて、ここで考えるべきことがあります。自店のモノ・サービスをどこまで「自前」で提供するのか、ということです。すべて「自前」で提供できれば、圧倒的な独自性を発揮し、希少性が高まることで価値が上がります。飲食店が牛や豚などを育て、野菜や果物を栽培し、それを自らの店で調理し、提供するようなことです。

 

 しかし、すべて「自前」にしてしまうと、相当な手間がかかります。しかも手間をかけたとしても、「希少性」が高まるだけで、それが支持されるかどうかはやってみないとわかりません。「店主のこだわり」が誰にでも響くとは限らないのです。

 

 もっとも、すべてを「自前」で提供する店はほとんどありません。どんな店舗でも自店のコアな業務以外は外部のモノ・サービスを活用しています。飲食店が仕入れる食材しかり、小売店の取り扱う商品しかりです。どの店舗も時間、労力、お金などの「コスト」と提供したい「価値」のバランスを取りながら、「内外作区分」を行っていると言えます。

 

 ただし、「自前」でやる部分、つまり「強み」がわかっていなければ、重要な部分まで外部に回してしまい、店の独自性が無くなることでお客様の支持を大きく落としてしまいます。自前でやるべき業務を外部に回し、店舗の価値を落とす例としては「手作り居酒屋が冷凍の食材や完成品を使う」ことが挙げられます。お客様は簡単に見抜いてしまいますが… それでもこういう店舗は結構あります…

 

 ともあれ、店舗の強みは「自前」でやる部分にあります。誰にでもできることは強みとなり得ず、率先して外部に回す必要があります。しかしそれがわかっていない店舗ビジネス経営者は多く存在します。店舗が3年と持たない要因の一つがここにあるのです。

 

 店舗の強みが分からなければ、「お客様」に聞いてください。ほとんどのお客様はそこに惹かれて店舗を利用しています。そして経営者自身が思う強みとは必ずズレがあります。普段からお客様との会話を積極的に行い、自店のことを正しく察知するように心掛けましょう。