コラムNo.159 実店舗唯一の強みとは?

 

 私は店舗ビジネス、つまり「実店舗」を構えた商売をしている経営者の方々に対してコンサルティングを提供しています。実店舗(もしくはリアル店舗)という言い方は昔からあるわけではなく、特に広がったのはネット通販が浸透したこの10年程だと思います。コンピュータ黎明期に造られた言葉であるハードウェア(本体やキーボードなど)とソフトウェア(プログラムなど)のようなものでしょうか。

 

 近年は実店舗を持たないネットだけの店舗も多数存在し、特に小売店は商品探しから決済まですべてネット上で完結するため、その相性は抜群で買えないものはないというくらい環境が整っています。日用雑貨や衣料品、果ては車や家まであらゆるものが扱われています。ネット通販の代表格は言わずもがなのアマゾン(こちらは逆にネットから実店舗を展開中)ですね。また、小売のようなBtoCをはじめ、メルカリに代表されるCtoC(消費者間)の売買環境も整いつつあります。

 

 そんな状況の中、店舗ビジネス、特に実店舗を中心に商売を行っている小売業の多くは苦戦を強いられています。生鮮品を扱うスーパーはまだしも、どこで買っても同じような日用品、衣料品を扱う店舗は実店舗で買うよりも、自宅まで運んでくれる通販を選ぶ人が私を含めて大半ではないでしょうか。

 

 一方で実店舗でのサービス提供が主である飲食店や理美容、治療院などはお客様に来ていただくことが基本となるため、集客のためのネット広告は行いつつも、肝心のサービスはネット上では不可能ですので、提供するモノやサービスを磨きこむ必要があります(今も昔も)。お客様に「わざわざ来てもらう」ような商品を持たない店舗はすぐに退場させられます。

 

 店舗ビジネスという商売で成功するための基本原則は、実店舗における「至上の顧客体験を提供すること」です。飲食店であれば、提供する飲食物のレベルはもちろん、接客サービスやクリンリネス、客層といった目に見えるものから見えないものまでの総合点で判断されます(しかも点数ではなく感覚です)。

 

 どんなにIT技術が進歩しても、その場限りの貴重な体験は当人にしかできません。これからの実店舗の強みは「至上の顧客体験を提供すること」だけです。生身の人間に対して、生身の人間が提供する体験の価値は今後もっと上がっていくでしょう。ただし、その恩恵に預かれるのは徹底的にサービスを磨きこんだ一部のプロフェッショナルのみです。

 

 中小、あるいは小規模の店舗経営者が生き残るには、他にはまねのできないサービスを突き詰めていくことが唯一の道といえます。IT技術はそのための手段でしかありません。単にネット通販で販売チャネルを広げれば何とかなるかも…といった甘い考えで生き残れる時代ではないのです。

 

 店舗経営者の皆さん。自社のサービスを磨きこんでいますか?中身がないレベルの低いサービスのまま集客だけに力を入れ、売上アップをしようと思っていませんか?