コラムNo.160 なぜこの価格ですか?

 

 店舗ビジネスにおける「価格設定」は最も重要な経営判断のひとつです。当たり前のことではありますが、クライアントを見ている限り意外なほどに理解されていない経営者が多いと感じます。つまり「適当に」価格設定をおこなっている場合が散見されるのです。

 

 聞けば、「まあ、大体これくらいでいいんじゃないかな…」くらいの感じですべての商品の値付けをおこなっている。さすがにコスト割れになるような価格にこそしていませんが、原価を把握していないことも多いのです。小売はともかく、飲食店の適当な価格設定には驚かされることもままあります。

 

 その適当さは在庫管理にも表れ、当然棚卸しはなされていません。結局すべてが適当な経営になっているため、価格設定どうのこうのというよりも、店舗のクリンリネスなど基本的な部分から見直さなければ、そんな店舗にやれ原価がどうとか価格がどうといってもすぐにずさんな状態に逆戻りします。

 

 「そんな適当な店なんてほとんどないだろう!」という声が聞こえそうですが、私の経験上、石を投げればあたるくらい多くの店舗が「適当経営」に該当します。

 

 さて、価格設定に話をもどすと、基本的に3つの視点から価格を決めるのがセオリーです。自社、競合、顧客のいわゆる3Cの視点ですね。簡単に言えば自社の「コスト」、競合の「価格帯」、顧客の「支出可否」の複合的な視点から価格設定をしていく方法です。

 

 一番まずいのは前述した適当な感覚だけで価格を決めることですが、その他にもコスト分に自社が欲しい利益を乗せただけの価格や、単純に競合より少し安くした価格、顧客が出すからといって不当に高くした価格など、いずれも問題があり、まず間違いなく顧客からの支持は得られません。まさに今、新型コロナ対策でマスクの価格が高騰しているのは市場の原理とはいえ、「不当な高価格」に他なりません。

 

 価格設定法には「コストプラス法」をはじめとした「○○法」がいくつもあり、ネットで調べればそれこそ山のように出てきます。どれか一つが正解というものではなく、3つの視点のどこに比重を置いた価格設定をするのかという「切り口」を与えるものです。

 

 自分だけ、あるいは周りの状況だけ、はたまた顧客の顔色だけ見ての価格設定は必ず失敗します。価格設定にも自分なりの哲学(根本的な考えや基準)が必要です。店舗経営者は「なぜこの価格なのか」に対して明確な返答ができなければ、顧客からの継続的な支持は得られないばかりか、スタッフとの信頼関係も崩れ、すぐに退場を迫られることになるでしょう。