コラムNo.162 研修中バッジは免罪符ではない

 

 店舗ビジネスでは飲食、小売、サービスの業種を問わず人手不足の状況が続いています。ハローワークや求人サイトに掲載してもほとんど反応がない中で、「こういう人が欲しい」などぜいたくは言えず、本当に猫の手も借りたい店舗は相当数にのぼります。

 

 そうなると人を「選ぶ」ことができず、とりあえず誰でもいいので面接に来た人は全て入社してもらうことになります。するとどうなるか。当然ですが現場のレベルは下がります。普段ならお断りするような人にまで入社してもらうわけですから、当然の帰結になります。

 

 さらに悪いことに、その人自体の能力的な問題と合わせ、働く側からすれば選び放題な「売り手市場」という環境が定着率を押下げます。これまた当然の帰結として店舗は常に「素人の集まり」となってしまいます。研修中レベルのスタッフばかりになってしまうということです。

 

 さて、人手不足以前からあった店舗の不思議な慣習に「研修中バッジ」があります。私はこれが大嫌いなのですが、最近よく見るようになったと感じます。客側からすれば、その店舗で買い物するなり、サービスを受けるなりするときに「研修中」のスタッフが担当になった場合、結構な確率で「はずれ」なわけです。

 

 同じ金額を支払ったのに、多少劣ったサービスを受けることは誰にとっても納得はできないことでしょう。しかもそれを店舗側がいわゆる「保険」「免罪符」として「研修中バッジ」に責任転嫁する店舗側の浅はかな考えが私は嫌なのです。

 

 レベルの追い付かないスタッフを使わなければ店が回らないという状況も理解はできます。だからといって「研修中だから許してね」というのは筋が通りません。私は何も「常に極上のサービスをしろ」「お客様は神様だ」と言っているわけではありません。

 

 お客様が期待するサービスレベルが維持できなければ早かれ遅かれ店は無くなります。研修中のスタッフで溢れかえった店が繁盛することは絶対にありません。店舗で実際にお客様にサービスをする場合は、誰であれ「研修中バッジ」は外してください。そのレベルになければ、店に立たせないでください。人手不足の折、大変かもしれませんが、そんなことを続けていたら店舗の死期が早まるだけです。

 

 「そんなことを言っても営業をしないとご飯が食べられない!」という声もあるでしょう。そんな人は早く考え方を変えてください。もうそのモデルが通用しなくなっているのです。これまで何もしなかったツケが回ってきているのです。まずは営業時間の短縮や店休日を設けてください。業務の効率化をしてください。人材育成をシステム化してください。それらをせずに泣き言を言わないようにしましょう。

 

 店舗経営者の皆さん。人手不足だからといって「とりあえず誰でもいいから人を入れる」「研修中バッジで責任転嫁する」ことからはもう卒業しましょう。