コラムNo.169 待つことも仕事の一つ

 

 当コラムは通常、店舗経営についての戦略や具体的実践方法などを発信してまいりましたが、緊急事態宣言が出ている現在、中小企業の皆さんが少しでも早くコロナ禍に対応できるよう、最新かつ役立つ情報をわかりやすく提供する内容に変更します。

 

 さて、今回は425日、加藤厚労相から発表された「休業手当は国が全額補助、雇用調整助成金」にスポットを当てたいと思います。

 

 現在の新型コロナウイルスの感染拡大にともない、厚労省が補助する雇用調整助成金(雇調金)は通常時(中小企業は23助成)よりも助成率が上がっており、支給した休業手当の最大45を助成する形となっています。

 

 企業は従業員を休業させた場合、休業手当を支給する必要があります。額については前年度賃金額の60%以上と定められ、通常時には大半の企業が60%の支給にとどめています。しかし現在のコロナ禍は全世界に影響を与えるような大災害といっても過言ではありません。企業にとってはある意味不可抗力であり、休みたくなくても休まなければならない状況となっています。

 

 このいかんともしがたい状況を国が支援するために、前述の助成率を45にアップすることや今回出された休業手当全額補助(緊急事態宣言による休業要請に応じた中小企業が前年賃金の100%水準の休業手当を支払う場合。425日現在)という新たな施策が考えられ、従業員の雇用を守るべく実現化しているのです。

 

 自社を支援してくれる施策が増えるのは好ましいことである一方、新型コロナが一気に拡大し、それにともなって国や各自治体の施策も爆発的に増えたことから、何が活用できるのかが分かりにくく、使うに使えない「宝の持ち腐れ」となっているパターンも多く存在します。経営者の方で施策のすべてを知り、理解している人はほとんどいないでしょう。大半が部分的な「点」での知識にとどまっているのではないでしょうか。

 

 また、提出書類も簡略化されたとはいえ、それでも非常に煩雑なことに変わりはありません。結局施策を活用するのに23重の壁が立ちふさがっており、その解決のために相談しようにも、相談窓口にはすでに多くの人が詰めかけ、数週間待ちはざらという状況なのです。

 

 ここで絶対に回避すべきポイントがあります。早くお金が欲しいあまりに「焦って適当な(あるいは恣意的に数字を操作した)資料を作成し、将来的に不正受給の烙印を押されること」です。

 

 「そんなバカな」の声が聞こえてきそうですが、「貧すれば鈍する」「急がば回れ」「衣食足りて礼節を知る」などの言葉通り、危機的な状況の時には誰に対しても「落とし穴」が待ち構えています。猫の目のように変わる状況下では、まずは冷静に「待つ」姿勢を保つことも経営者にとって必要な資質の一つです。