コラムNo.171 給付金か売上か

 

 最近の経営相談でよく議題に上るトピックとして「持続化給付金」があります。これは当コラムをお読みの皆さんもご存知の通り、政府が中小・零細企業向けに策定した資金支援の一つです。返還不要の給付金としては比較的額が大きく、法人の給付上限200万、個人事業主の給付上限100万となります。

 

 給付対象となるにはさまざまな要件がありますが、基本的には本年の1月~12月までの実績で前年同月比50%を下回る月(対象月)があることが必須となります。前期年間売上から対象月×12を引いた金額を売上減少分とし、その数値をもとに給付額が決まります。給付上限が先述の法人200万、個人事業主100万となるわけです。

 

 小さな企業や個人事業主からすればかなり助かる施策です。特にコロナ禍で集客が激減し、大きく売上を落とした飲食、宿泊、イベント業の方々にとっては、待ち望んだ救世主といっても過言ではないでしょう。

 

 一方で、相談を受けていると業種によっては売上が50%を下回ることが結構高いハードルになっている場合があります。給付を受けたくても受けられない、でもそれなりに数字は落としている… コロナ禍によって2~3割は売上が減少したものの、それ以上は固定的な売上のため落ちようがない(例えば定期購読や購買が主たる売上の店舗)。

 

 また、飲食店でも早めに宅配に進出し、逆に前年比を伸ばしてしまい(いいことですが)給付対象とならないケースもあります。このような状況の経営者の方はほとんどの場合逡巡されています。「給付金はあれば助かるし、正直もらいたい。しかし、現状では要件を満たしておらず、もらうためには店舗やサービスを休業する必要がある。だがそれでお困りになるお客様もいらっしゃるし、従業員にも困る人が出てくるだろう…」

 

 要は、お金欲しさに休業するのはモラル的にいかがなものか… ということに集約されます。さて、皆さんならどうするでしょうか。残念ながら、この悩みに対する正解はありません。自分で考え、責任を持って決断するしかないのです。

 

 休業に際しては新型コロナの感染防止という大義名分があり、休業することが不正になるとは考えにくい半面、それでも給付金のために店を休むことも大きな理由の一つですから、やましい、後ろめたいという考えも出てくるでしょう。

 

 それでも決断することが経営者の仕事です。給付金をもらうのならば、不正をすることなく堂々ともらって、堂々と使いましょう。お客様、従業員、周囲の関係者が見ているのは経営者の「誠実さ」です。

 

 給付申請に不正はないか。給付金の使い方はどうなのか。お客様や従業員に対し、経営者が胸を張って堂々と包み隠さず報告できるのであれば、良い決断だったと言えるのではないでしょうか。