コラムNo.173 それでもお店を続けますか

 

 新型コロナの新規感染者数も徐々に落ち着きを見せ、休業要請が解除された地域では繁華街に人の流れが戻りつつあります。私も街中を歩いてみたところ、大半の店舗が営業を再開しており、ちらほらとお客様が入っています。コロナ前よりはまだ人通りは少ないながらも、人が集まる「活気」をちょっとだけ感じることができました。

 

 全国チェーンのカフェに入ってみると、今や店舗の標準装備ともいうべきビニールガードがしっかりと取り付けられ、座席は対面にならないように撤去してあります。席同士の間隔も十分に空けられ、コロナ前からすれば随分贅沢で余裕のある空間に感じられます。私が知る限り、飲食店以外でも来店型の店舗ビジネス経営者は同様の措置を取っています。

 

 例えば美容室などはお客様を密集させないように「完全予約制」に移行している店舗も多く見られ、雑誌は撤去しタブレットに、対面ではなくビデオ通話でカウンセリングなど、感染拡大防止とお客様の安心感を得るべく様々な工夫を凝らしています。

 

 しかしながら、店舗ビジネスにおいて、「感染拡大防止」と「売上の拡大」はトレードオフの関係にあります。感染拡大防止に力を入れれば入れるほど、作業量は増え、一度に迎えることができるお客様は減り、売上は伸ばしづらくなります。店舗経営者としては、お客様を集めたくても集められない現在の状況は相当にもどかしいのではないでしょうか。

 

 お客様側から考えても、今の段階において、たくさんの人であふれかえる店舗の利用はできる限り避けたいのが本音でしょう。結局、「店舗側の対策による効率の悪化」と「お客様側の消費マインド低下による来店数の減少」が売上の強い押下げ要因となり、どんな辣腕経営者であったとしても、店舗ビジネス全般の業績を元通りにすることは至難の業ということになります。

 

 ウイルスという「見えない敵」が不安を煽る要素であるため、たとえ感染が収束し、ワクチンが開発されたとしても、「次の流行への不安」から一般人の多くは以前のような行動をとれないと考えたほうがいいでしょう。

 

 ここで店舗経営者の皆さんにお伝えしたいのは、店舗を以前の状態に戻すには相当の時間がかかるということです。つまり、同じことをやっていても売上は戻せないということです。店舗ビジネスではほぼ例外なく、「新たな取り組み」をする必要があります。飲食店であれば、テイクアウトやデリバリーなど軽めの取り組みからスタートするのが今や常識となっています。

 

 しかしそれだけでは当然立ち行きません。飲食から離れることも視野に入れる必要があります。狭い視野で考えるとたいていロクなことにならないのです。コロナ禍は、こんなことでもなければ考えなかった、やらなかったということを始めるいい機会でもあります。たまにはしがみついている手を放して自由に考えてみてはどうでしょうか。