コラムNo.177 わが社は特殊?

 「わが社(業界)は特殊なので…」これは多くの経営者と話をする中で、決まり文句のようによく出る台詞の一つです。その後に続く言葉は「ほかの会社や業界よりも経営が難しい」「他で有効だった策でもうちでは通用しない」「長年の経験で培った勘や人間関係がモノを言う」といったところでしょうか。

 

 さて、冒頭のこの台詞、もちろん間違いではありません。ただし、「一面では」という条件が付きます。細かな業務レベルで言えば、自動車部品をつくる製造業であろうが、生鮮食品を売る小売業であろうが、ヘアカットやカラーを提供する美容業であろうが、いずれの業種でも特殊な業務ばかりです。同業種間でも全く同じ業務はほとんどなく、置かれた環境もバラバラです。そういう意味では11社すべてが「特殊」といえるでしょう。

 

 しかし、様々な業種の様々な経営者と話し、その経営状況を見るにつけ、経営の成否を決める「共通項」は間違いなく存在すると確信するに至りました。つまり、「あなたの会社や業界は決して特殊ではない」ということです。

 

 冒頭の台詞は、仕事熱心な社長が「視野狭窄状態」に陥った際に出る典型的な言葉です。熱心過ぎて、狭く深く突き進んでしまい、周りが見えなくなっているのです。その状態で何か問題が起こった場合、その都度勘と経験を駆使した解決策を講じなければなりません。創業当初はそれでも回っていきますが、いずれそのやり方では行き詰ります。業績も同様でしょう。

 

 視野を広げるためには、現場レベルの狭く深い世界(虫の目)から、経営という視点(鳥の目)に視座を上げる必要があります。こうすることで視野が一気に広がります。

 

 どんな業種でも「顧客にとって役に立つモノやサービスを提供する」ことで会社は成り立っています。これが経営の成否を決める最も重要な共通項の一つです。つまり、誰に何をどのように提供しているのか。そもそもウチは世の中の役に立っているのか。ここをまず整理することでウチは何の会社なのか?存在意義はあるのか?が明確化されます。事業の本質がシンプルに表現されることで、視野が広がり、アイデアが生まれやすくなるのです。

 

 これが視座を上げるということであり、日々の細かな業務だけを見ていた狭い視野の時とは比べ物にならないくらい、問題解決のスピードが早まり、新しいアイデアが生まれやすくなります。

 

 繰り返しになりますが、あなたの会社(業界)は決して特殊ではありません。業務だけを見ていれば全く異なる仕事と感じますが、事業の本質はどれも同じです。まずは一旦日々の具体的な仕事から離れ、「顧客にとって役に立つモノやサービスを提供」できているのか、という問いに答えるべく、「顧客」や「提供する商品」や「提供する方法」を言語化しながらシンプルにまとめてみましょう。これまでと違う世界が見えてくるはずです。