コラムNo.184 それって最初にやること?

 

 私は経営者の方々とミーティングする際、最初にあえて「現状の課題」をお聞きすることがあります。これは手っ取り早く状況をつかむというよりは、挙げられた課題をきっかけに深掘りし、本質的な課題に近づきやすくするためです。

 

 たいていの場合、最初に挙げられた課題は本質とはズレていることが多く、むしろやらない方がいいことが多い印象です。例えば、とある学習塾(幼児~中学生)の経営者の方は、課題として自社は認知度が低く、向上のためのHPやチラシを作成し、プロモーションに力を入れなければならないとの意見をお持ちでした。

 

 よくよく話を聞いてみると、現在お一人での運営で、規模の拡大を考えているわけではなく、生徒数は自身のキャパぎりぎりで、スタッフを雇用する予定もないとのこと。また、これまでほとんどの生徒は親同士の口コミで集まっており、広告宣伝をしなくても集客に困ることはなかったそうで、むしろ人が集まりすぎてカリキュラムを変えなければならなかったとも仰っていました。

 

 これを聞くと最初にお聞きした課題である「認知度向上」がなぜ必要なのかな…となりますが、ご自身の感覚では、受け持つ中学生の生徒数が口コミで集まりづらくなっていることから、少し危機感をお持ちだったようです。

 

 さらに深堀りして聞いていくと、ご自身の希望としては、今後幼児教育に力を入れていきたいそうで、こちらはまだまだ口コミでの入塾が大半とのこと。

 

 結局、心配していた中学生の生徒を集めるために広告宣伝を行っても、ご自身が力を入れたい幼児教育とはズレが生じ、また必要以上に集まってしまうとキャパオーバーで塾生や親御さんにも迷惑をかける恐れがあります。

 

 下手に広告を打ってしまうと、忙しいけどやりがいがない状態となる可能性もあります。よって、まずはご自身がやりたいことをベースに、どこに力を入れて、どう運営していきたいのかを考え、言語化するようにアドバイスしました。

 

 その軸があって初めて広告宣伝が意味を持つようになり、順番を間違うと自分の首を自分で絞めてしまうことにもなりかねません。

 

 このように、経営者ご自身で考える「現状の課題」は往々にして本質とズレていることが多く、何も考えずにやってしまうと、最悪の場合、事業を潰してしまうことあります。

 

 自分一人で考えると、どうしても「客観的な視点」が抜け落ちます。目の前のことが優先されすぎ、遅からず同じような次の壁にぶち当たってしまうでしょう。ですので、二進も三進もいかない状況になる前に、まずは現状をすべて書き出し、言語化して整理するようにしましょう。自分の考えを外に出すだけでもその後の結果は大きく変わります。