コラムNo.186 属人的営業の功罪

 

 私は仕事上、さまざまな会社の「内側」を見せていただきます。内側と言うのは別に室内と言う意味ではなく(まあ室内もですが)、事業の仕組みや財務状況など、外からはうかがい知れない会社の重要な内部情報のことです。

 

 今回お話したいのは、会社の「内側」の事業の仕組みのうち、その核とも言うべき「営業」についてです。ここでいう営業は、主に見込客に向けて自社商品を販売する業務のことを指します。

 

 さて、皆さんの会社では営業活動をどう実践しているでしょうか?こんな質問をすると、大体「は?」「普通にやってるよ」「ちゃんとヒアリングして…なんちゃらかんちゃら…」と色々な意見がでてきます。要するに大半の会社は「人それぞれ」なわけです。

 

 一人会社であれば、「人それぞれ」で特に問題ありません。と言うよりもそれが当たり前です。しかし、営業担当者が2名以上になったら、ある程度の型が必要になると私は考えています。

 

 なぜか。それは「再現性」と「継続性」を持たせ、より永続的に事業を展開していくためです。人それぞれだと、ほぼすべての企業でかなり早いうちに業績は頭打ちとなります。売れる人はますます売れ、売れない人はまったく売れず、その格差は広がり続け、売れる人はより高い給与の会社に転職し、売れない人は他の業種に移ります。で、最後は人が集まらなくなり、結局のところ社長以外誰もいなくなります。売上どころか会社存続の危機になるわけです。

 

 ここは重要なポイントですが、最初から売れる人はごく少数派です。もっと言えばほとんどいません。これが分かっていない経営者が多い。自分ができるから他人も多少頑張ればできると思ってしまう。人を頭数だけで揃えてしまう。残念ながら人材のほとんどは育成に相当な時間がかかり、平均以上にいく割合も実はそう高くない。何も教えず最初から「売れる」スタッフなど、宝くじ1等レベルの確率であり、夢物語です。

 

 つまり、基本的な営業活動は、売れない社員をベースに考えることが必要で、それには型が必須だという話です。誰がやっても同様の結果が出るような、「再現性」と、それがあることで成果を残せ、仕事を続けることでさらにスキルアップし「継続性」が担保される。そんな型をつくらなければ、会社としての成功は望めません。

 

 型の作り方は簡単です。まずは営業のプロセスを簡単でいいので明文化することです。例えばリストアップからアプローチ、ヒアリング、プレゼンテーション、クロージングの流れの中で何をやっているかを書き出し、文章に落とし込むだけです。

 

 最初から細かい型をつくる必要はまったくありません。むしろ人数が少ないうちは細かすぎると逆に型が足を引っ張り、成長が止まりやすくなります。繰り返しになりますが、ごく簡単な内容でも十分です。A4の紙1枚程度に、営業活動に必要なプロセスだけを簡潔に書き込む。最初はそれだけで十分です。