コラムNo.193 経営者を本気にするには

 

 私は仕事柄、多くの経営者の方々とお会いし、経営に関して助言などをする機会があります。その中で、「同じことをやっているはずなのに、なぜか成否が分かれてしまう」という不思議な現象を目にします。例えば、お客様に対してチラシやDMでの販促を同様の手順で行っても、また、人材の採用や育成の仕組み構築に関しても、同じことを教え、こちらで実践の経過を確認しているにもかかわらず、上手くいく場合とそうでない場合があるのです。

 

 もちろん、各企業が置かれた状況が違うのは織り込み済みであり、外部環境によって直接的に受けた影響を除いても成否が分かれてしまいます。「この状況ならば、これをやれば少なくともこれくらいの成果は残せるだろう。」という算段でコンサルティングに取り組みますが、どうにも結果が出ない。当然100%うまくいく方法などあるはずもないわけですが、それでもここまで何も結果が出ないのはおかしい。

 

 冒頭では、「不思議な」と形容したこの状況、実はその原因はほぼはっきりしています。さて、何だと思いますか?

 

 一言で言えば「経営者の本気度」です。何だそんなことか…と思ったあなた。あなたは本気で実践していますか? 

 

 収益向上のために様々な策を練り、計画をし、実践に移すわけですが、私の経験上、本気でやり切る会社はほんの一部です。全体の2割程度ではないでしょうか。そもそも法人、個人事業を合わせた事業者で経営計画を作成しているのは半分程度です。しかも計画を立てた後は引き出しにしまい、二度と見ない場合も少なくありません。

 

 つまり大半の経営者は、私に言わせれば残念ながら「本気」ではないのです。計画もしない、実践もしない。なんとなく始めて、多くは数年で終わる。本気とは言い換えれば、「目標に向けて決めたことをやりきる」ことです。

 

 どんなに効果的なノウハウでも、当事者が本気で取り組まなければ絶対に成功はしません。にもかかわらず、やっているふりの経営者は思った以上に多く、その人たちに火をつけるのは非常に難しい。ですので私の場合は最初から付き合わないようにしています(それでもたまに本気ではない人もいますが…)。

 

 では、どうすれば本気になるのでしょうか。キーワードは「危機感」です。本気になっていない経営者は、ほとんどがまだウチは大丈夫だと勘違いしています。取引先やスタッフが火をつけるのも一つの方法ですが、自分自身が気づかなければ一時の動きで終わります。そもそも周りが気づいていないことも多い。まあ、いずれにしても、「ワクワクする未来」だけでは何かあったらすぐにポキッと折れてしまいます。同時に危機感を持たなければ、本気にはなりえないのです。

 

 とはいえ、あまりに危機感を煽っても逆効果となり、事業継続をあきらめてしまいます。そこで、健全な危機感が持てるよう、現状を漏れなく上手に伝えることができる第三者を使うのも一つの手です。客観的かつ合理的に現状を分析し、ともに明るい将来を描けるパートナーの存在は大きいものです。現時点での顧問税理士や顧問社労士、それ以外のさまざまな士業、コンサルタントなど信頼できる仲間をつくっておくことは、間違いなく今後のあなたの助けになることでしょう。