コラムNo.45 店長の“その先“がない店舗の末路

  さて、店舗経営者の皆さんへ質問です。

店舗スタッフが現場において経験を重ね、様々な

スキルの獲得とそれに伴う業務遂行能力の向上、

またマインド(仕事に対する姿勢など)の成長が

見られた場合、どう評価するのか、そして待遇や

権限の移譲にどう反映させるのか、仕組みを

持っていますか?

 

 換言すれば、社内における“キャリアアップ

システム”がありますか?ということです。

 

 開業したての店舗や少人数の家族経営であれば、

あまり問題にはならないかもしれません。

しかし、数店舗をもち、スタッフの数も10名を超えて

くると基本的なキャリアアップの仕組みは作るべきです。

 

 経営者の熱い思いだけでやっていけるのは、

23店舗です。ただその状態も無理があります。

 

 創業時の店舗運営形態をそのまま新店舗にも

当てはめ続け、スタッフの待遇も社長の

鶴の一声方式になっている。そんな店舗は

山ほどあります。

 

 だいたいそういう店は45店舗目から店が

回らなくなり、売上もどんどん悪化していきます。

さらに悪いことに退職するスタッフも多くなって

きます。新人もやめていきますが、店長や

中堅クラスも退職希望を出してきます。

 

 こうなってからでは時すでに遅く、

店舗を縮小していくしか道はありません。

もちろんキャリアアップシステムがあれば

全て解決するとはいいません。

戦略やオペレーションの改善、変革も必要です。

 

 ただキャリアアップシステムはその中の

決して外せない重要な柱の一つなのです。

 

 ここで細かいキャリアアップシステムの

作り方まではお伝えできませんが、基本的な

やり方としては、スタッフにとってどうすれば

待遇がいまよりも良くなるのか、役職が上がるのか、

何が評価のポイントなのか、誰が評価するのか、

などを考えながら体系的に作ることが最も

オーソドックスな方法となります。

 

 ただ、すべての会社に合うようなキャリアアップの

仕組みは存在しませんので、自社でしっかりと腰を

据えてつくりあげることが重要です。

 

 加えて、時代の変化に合わせて柔軟にその仕組みを

変えていくことも忘れてはなりません。

 

 私がここで申し上げたいことの一つは、

キャリアアップシステムとは会社における重要な

軸であることです。軸が無ければ何か事あるごとに

その基準がブレます。人が変わればやり方も変わり、

属人化への道を一直線。気づけば店舗経営は

ガタガタになっています。

 

 そうならないためにも、会社の価値観の軸として

キャリアアップシステムを構築する必要があるのです。

 

 そしてもう一つ。

 

 私がここで申し上げたい最も重要なことは、

“店長のその先はどうなっているのか”、ということです。

 

 多くの店舗ビジネスでは、店長のその先のことを

考えている会社はありません。大手であってもです。

仕事の内容が定義されていないマネージャーなどという

役職が用意されていることもありますが、大半の

マネージャーは店長時代に比べ、その生産性は低下

しています。

 

 なぜなら、何をしていいかわからないからです。

そもそも店長の仕事自体も定義していない会社が多い中、

もっと抽象的なマネージャーの仕事を作ること自体が

ナンセンスです。

 

 とにかく、店長のその先を仕組みとして持っておく

ことは店舗ビジネスにおける最重要課題ともいえます。

店長の先がなければ、そのままダラダラと店長を続けるか、

辞めて独立するか、転職するか、のいずれかになります。

 

 将来がどうなるかわからないという不安はどの業種でも

ありますが、店舗ビジネス、特に規模の小さい会社に

おいてはスタッフにかかる不安は相当なものになるでしょう。

 

 しかし、最初から仕組みとして店長の先を考えて

おくことで将来の不安を解消し、人財の成長や

定着率の向上につなげることが可能となります。

 

 逆にその仕組みが無ければ、できるスタッフから

辞めていきます。残ってほしい店長、中堅クラスから

辞めていくのです。残るのは結局…

 

 まずやるべきは店長の仕事を定義づけすることです。

その後、店長のその先のキャリアコースをつくるのです。

 

 そのキャリアコースのデザインで重要なことは

選択できること、選択の幅が広いことです。

社内でのキャリアアップから、独立までを入れ込んで

スタッフが主体的に選択できる状況をつくることです。

 

 そうすることでスタッフのムダな不安を払しょくし、

安心して働く環境が実現します。

結果として、先述したように人財の成長や定着率に

好影響を与えます。

 

 皆さんの会社ではキャリアアップシステムを

つくっていますか?

 

 社長の鶴の一声方式がまかり通っていませんか?