コラムNo.51 人を褒めるために必要な条件

 

 今回は人財育成の華ともいうべき“褒める”

についてお伝えしていきたいと思います。

 

 特に私がここでお伝えしたいのは、よくあ

る小手先のスキルではなく、“褒める”という

ことの本質です。

 

 “褒める”ということの知識やノウハウな

どを得たければ、本屋に山積みになっている

何十何百という数の書籍を参考にすればいい

ですし、会社でも研修やセミナーなどでテー

マになる機会も多いでしょうから、そちらを

活用しない手はありません。

 

 知識やノウハウを活用するには、その基盤

が何よりも重要です。ここではその基盤をつ

くりあげる材料を提供していきたいと思いま

す。

 

 さて、そもそも“褒める”とは何でしょう

か。辞書的な意味は、「すぐれているとして、

その人や事を良く言う」となります。

 

 しかし辞書だけの意味ではよくわからず、

しかも味気ないので、ビジネス的にその意味

を足すとすれば、「優れた行動を正しく評価

し、より良く伝え、感情の高揚を呼び覚ます

ことで、良い行動を強化し、成果に結びつけ

る一連の流れ」という感じになるでしょうか。

 

 “褒める”の意味を理解したうえで、その

構造を見ていきましょう。まず“褒める”と

“褒められる”の関係性でいえば、褒める人

のほうが、褒められる人より立場が上、もし

くは同程度に位置していることが必要条件と

なります。たとえば、上司と部下、先輩と後

輩、親と子、経験者と未経験者、同僚同士な

どですね。

 

 部下が上司を褒めたり、後輩が先輩を褒め

たり、子が親を褒めたり、といったことは通

常ありません。(上司がいない場での部下同

士の話や、会社でそういう評価システムを導

入している、また、あえてそういう場を作っ

ているところはその限りではありません。)

 

 つまり年齢、経験、実績が同等以上である

ことが“褒める”基本構造となります。

 

 誰も自分より年下で、経験も少なく、実績

もない人から褒められたくないでしょう。

 

この基本構造に加えて、感情的な部分も

“褒める”ことに対して影響を与えます。

 

 褒められて嫌な気がする人はあまりいない

ですよね。しかし、自分が感情的に受け付け

ない人(嫌い、苦手など)から褒められて嬉

しい人はいるでしょうか。また、全く知らな

い人から褒められた場合、少しは嬉しい半面

何か怪しさを感じる人が大半ではないでしょ

うか。

 

 これらのことから、“褒める”という行為

がしっかりと機能するには、良好な人間関係

が必要だと言えます。少なくとも嫌われてい

ないこと、そしてお互いが多少の情報を持っ

ていることですね。

 

 何を当たり前のことを…と言われそうです

ね。しかしながら、これをわかっていない人

(特に上司)が非常に多いのです。

 

 大半の人が会社で与えられたポジションが

そのまま自分の力であり、自分の信用であり、

高い人間性を表していると勘違いしているの

です。

 

 もちろん仕事が出来て人徳もあるような人

もいますが、これはかなりの少数派です。

 

 つまりほとんどの上司は、部下から信頼さ

れてもいない、良好な関係を築けていないの

に、“褒めて”います。(これは親子でもいえ

るでしょう。ついでに言えば、“褒めない”

人も多いのですが。)

                   

 こういう状況で“褒める”ことは無意味で

あるばかりか、さらに信頼を損ない、その溝

を広げる可能性があります。しかも、上っ面

の褒めるスキルを使ってしまい、目も当てら

れない状況を自ら作ってしまうことも少なく

ありません。

 

 人を褒める、すなわち人財育成を成功させ

るには、あなたが人を褒めるに値する人間に

なることです。

 

 それは決して難しいことではなく、当たり

前のことを当たり前にするだけです。仕事の

レベルアップをはじめ、言行一致、積極的な

コミュニケーション、オープンな環境づくり

など基本的な事柄を普段から徹底して行うこ

とです。

 

 褒めることについては、「何を言うか」よ

りも「誰が言うか」がより大きな影響を与え

ます。

 

 経営者の皆さんも、まずはスタッフから

「あの人から褒められたい」と言われるよう

に日々の仕事に取り組んでください。

 

 人は誰でも自分が尊敬する人から褒められ

たいものです。そしてそういう人から褒めら

れると倍以上の力を出し、会社を成長させる

原動力となるのです。