コラムNo.52 店長で”アガリ”になっていませんか?

 

 人財育成は人と人との関わりあいが最重要

です。しかし、それだけでは組織は脆弱にな

ります。自分はこの会社にいて最終的にどう

なっていくのか、という地図がなければ目的

も目標も見えず、教える側は育成がその場し

のぎのものになり、教えられる側も全体像が

見えず、身が入らなくなります。

 

 その地図というのは、いわゆるキャリアア

ップシステムです。スタッフの能力向上、お

よびその実績が認められた場合に、会社が昇

進、昇格などをおこない、待遇改善によるモ

チベーションアップや自己実現欲求、承認欲

求を満たし、さらなる能力向上とそれに伴う

業績向上につなげる組織づくりの基本といえ

ます。

 

 創業したての小さな会社、店舗であれば必

要ありませんが、23年たち、店舗が3

舗以上になっても、社長の鶴の一声で何でも

決めている会社が散見されます。これはかな

りまずい状況です。

 

 キャリアアップの仕組みがないことの何が

問題なのか。

 

 問題は、会社の将来と判断基準が見えない

ことで、スタッフの不安が増大することです。

 

 将来が想像できないことによる不安は確実

に離職率を引き上げます。そして行き当たり

ばったりの組織づくりはスタッフ同士を疑心

暗鬼にします。

 

 「あの人は何であんなに給料をもらってい

るのか」

 

 「いきなり店長にさせられた…」

 

 「マネージャーに任命されたが、なにをす

ればいいのか…」

 

 「異動に次ぐ異動で疲れた…何か計画があ

るのか…」

 

 スタッフ同士は何でも話しています。知ら

ぬは社長ばかりなり。こういう積み重ねが組

織を破綻に導きます。

 

 ですから、キャリアアップシステムは必ず

作り、それをしっかりと共有しておかなけれ

ばなりません。

 

 しかしただ作っておいてもダメで、その仕

組みに魂を入れなければ、全く意味はありま

せん。“仏作って魂入れず”の状態は作らない

よりも悪い状況になる場合があります。

 

 その魂を入れるのは“社長の仕事”です。

社長がその仕組みに則って人事を行うことで

す。社長が率先して実践しなければ、スタッ

フは白けてしまい、仕組みは機能しません。

例外もあまりつくらず、厳格に運用すること

がポイントです。そうすることでようやくキ

ャリアアップシステムが生きてくるのです。

 

 その仕組みはどうやって作るのか。

 

 キャリアアップシステムはスタッフの将来

を一番に考えて作るべきでしょう。店舗ビジ

ネスでいえば、これは何回もお伝えしていま

すが、店長の先をつくることに力点を置く必

要があります。

 

 今まで多くの会社を見てきましたが、一つ

言えることがあります。

それは店長で「アガリ」の状態になり、その

先がない会社が多いということです。

 

 これは非常に由々しき事態で、せっかく店

長にまで育ったにもかかわらず、その先がな

いために退職を選ぶ人が少なくありません。

会社側も何年もかけて育った人財がいなくな

ることは相当な痛手となります。生産性は低

下し、またゼロから人を育てなければなりま

せん。

 

 ですから、店長のその先を考えることを経

営者の皆さんには強くお勧めします。

それがエリアマネージャーなのか、スーパー

バイザーなのか、トレーナーなのか、はたま

たのれん分けなのか、会社の状況に応じて様

々な形が考えられます。

 

 要はキャリアコースを“選択”できるよう

にしておくことが肝心なのです。       

そしてそれを“先に言う”ことです。後から

こういうコースがあるんだけど…と言っても

誰も残ってくれません。採用時からきちんと

説明しておくべきなのです。

 

 今、キャリアアップシステムがない会社に

ついては、すぐにつくったほうが良いでしょ

う。そういった仕組みがないということは、

スタッフの将来のことを考えていないという

ことです。少なくともスタッフはそう感じて

います。

 

 組織をデザインし、それを実際につくりあ

げるのは経営者にしかできません。経営者が

現場の仕事にかかりきりになっていてはダメ

です。会社の将来はあなたの手にかかってい

るのです。