コラムNo.53 給与の決め方

                    
 今回のコラムではスタッフの“給与”につ
いての原理原則をお伝えしていきたいと思い
ます。

 経営者の皆さんは給与についてどうお考え
でしょうか。これは私の経験上ですが、給与
すなわち人件費は“コスト”だと考えている
経営者が多いと感じます。

 コストとは目的を達成するために必要な費
用であり、モノやサービスを生み出す原価と
も言えます。それにはお金はもちろん、労力
、時間が含まれます。

 しかしこの考え方は危険です。スタッフの
人件費をコストとして捉えてしまうと、原材
料と同じようにモノとして扱ってしまうこと
にもつながり、結果それを抑えようとする力
が強く働きます。

 適正な範囲内であればいいですが、それが
度を越してしまうといわゆるブラック企業へ
の道を辿ることになります。自分たち経営者
側がいかに儲けるか、を一番に考えてスタッ
フから搾取することを平然とやるようになる
のです。
 
 もちろん、ムダなコストは削減する必要が
ありますし、経営を効率化して少しでも多く
利益を出すのが経営者の仕事でもあります。
しかし人件費は同列で扱えません。

 スタッフの人件費はコストではなく、純然
たる“投資”なのです。
 
 投資とは、将来の価値を生み出すためにお
金、労力、時間を使うことです。つまり、ス
タッフの人件費はその人財、そして会社を成
長させるためのものなのです。

 限られた資金のなかで、いかに人に対する
投資を行うか。出したいけど出せないもどか
しい状況もあります。中小企業であればそん
な状況ばかりでしょう(私も嫌なくらい経験
しています)。その時にどれだけ歯を食いし
ばって投資が行えるのか。これが会社の将来
を左右する最も重要な決断の一つとなります。

 借入をしてでも先行投資として人件費を上
げたほうが良い場合や、その逆でリストラの
一環として人員削減を余儀なくされることも
あります。

 いずれにしても人件費は利益を食うコスト
ではなく、利益を生む投資として常に考えて
決断することが何よりも重要です。

 ただ投資とは言え、上限なく出せるわけも
なく、その加減が非常に難しいと思われる方
も多いのではないでしょうか。

 単に同業他社より高い額を提示すればいい
のかというと、そういう問題でもなく(出せ
るに越したことはありませんが)、また自社
の財務状況だけ見てしまうと、保守的になり
すぎて良い人財が集まらなくなってしまいま
す。

 重要なことは、感覚でやらないことです。
何回もお伝えしていることですが、社長の鶴
の一声で決めないことです。投資であるがゆ
え、給与にも理念と戦略が必要なのです。

 適当に決められた給与体系は全く機能しな
いため、すぐに機能不全に陥り組織がガタガ
タになります。本で読んだりネットで調べた
給与体系をそのまま使ったり、何の考えもな
しに単純な計算だけで制度をつくってしまう
と大きな後悔をする羽目になります。

 考えられた給与体系、制度は共通点があり
ます。それは、
「なぜこうなっているのか」
がしっかりと説明できることです。
その上で全社員が共有し、運用することでめ
ざましい効果を発揮します。

 皆さんの会社では給与体系や制度がなぜそ
うなっているのかが言語化されていますか?
そしてそれを全社員と共有していますか?