コラムNo.56 成功する人財育成の条件

  言うまでもないことですが、人財育成には様々な要素があります。

その中でもとりわけ重要なことに、育成される人に対し、人と人とのつながりをつくる、あるいはその支援をする、ということがあります。

 

 これはどういうことかというと、育成される人の成長度合いは、関わった人によって相当な差が出ます。いわゆるトレーナーなど、直接的に育成に関わるスタッフのレベルがその成長に大きく影響を与えるのは当然のことです。それ以外でも、店舗ビジネスであれば自社他店の店長やマネージャーなど、日ごろは直接かかわらなくても、オンオフ問わずコミュニケーションを取る機会がある人たちから様々な影響を受けるのです。

 

 となれば、特に新人の育成に関しては、直接、間接的に関わる人たちとの環境をしっかり作っておかないと、その成長を止めることにもなりかねません。常に優れたトレーナーや育成担当者がいればさほど問題は起きません。しかし、残念なことに優れた育成スタッフはそう多くないのが実際のところではないでしょうか。

 

 社風や社内文化などといわれるものは、インフォーマルなコミュニケーションがそれを形作る最大の要素となります。このような自然発生的コミュニケーションは、ともすれば自分の好き嫌いをベースにしてしまい、よくある仲良しグループを形成する要因ともなります。それ自体が悪いことではないのですが、行き過ぎると緊張感がなく弛緩した空気をつくってしまい、仕事に対してなあなあの慣れ合いとなり、あっという間にサービスレベルが低下します。

 

 人は自分が所属する集団の空気に染まりやすく、その価値観も似たようなものになっていきます。どんなにやる気や素質がある人財でも、周囲のレベルが低ければ伸びづらく、大半はその空気どおりのテキトーなスタッフとなってしまいます。そこから変えていくのは大変です。根本的な価値観から変えていく必要があるため、成長路線に乗せるには通常の倍以上の時間と労力がかかります。それで会社に残ってくれればまだいいほうでしょう。居心地がいい環境から、自分が望まない厳しい環境となれば、ほとんどの人は辞めていきます。

 

 このような悲劇を生まないためにも、経営者にとって重要な仕事のひとつは、慣れ合いの組織にならないような仕組みをつくることであり、成長したい人がロールモデルにできる人財とのつながりを自然と持たせることです。

 

 社内外にいる優れた人財とのつながりは、それだけで育成される側であるスタッフの成長を促します。特に社外にいる人とのネットワークはその成長だけでなく、様々な情報に触れることで視野狭窄にならず、お客様への付加価値を作り出す源泉にもなりえます。

 

 業界に入って間もない新人や、別業界から入ってきた人はそう簡単に人脈などつくれないものです。そこにつながりをつくれるのが経営者や幹部クラスの人たちなのです。現場において、その仕事だけを一生懸命教えても、ある程度まで来ると成長が頭打ちになります。

 外の世界や圧倒的なレベルを知らないからです。社内だけでなく、社外での師匠をつくり、ライバルをつくり、仲間をつくっておくことは当人のため、会社のため、ひいては業界のためとなり、大きな貢献を果たします。

 

 スタッフが成長するための“人的支援”は絶大な効果を発揮します。人は一人の力ではなかなか進歩しないのです。人が成長するためにはやはり“人の力”が必要です。

 

経営者の皆さん、自社だけの世界に閉じこもっていませんか?

スタッフにも外の世界を見せていますか?