コラムNo.61 研修の効果を最大にする方法

  店舗現場において人財を育成するには、現場での仕事をやりながら教えていく、いわゆるOJT方式がメインとなってきます。店舗ではお客様に対してモノやサービスの提供を行うわけですから、当然と言えば当然です。

 

 しかしながら、現場で実際の業務ばかりを教わって、それができるようになったとしても「ある時期」を境に成長が見られなくなります。「ある時期」は人によって違いますので、明確な時期が線引きできるわけではありませんが、ひととおり店舗の業務が自分一人でもできるようになってくると、その停滞時期に入ってしまうことが多いようです。

 

 開店業務から閉店業務までを一人でこなせるようになると、ある程度自信もつき、周りからも一人前として扱われるようになります。そうなると、自分はもう何も教わるようなことはないという、ある種の勘違いが芽生えてきます。現在の仕事に対する改善や、新しいことを覚えるといった努力もなかなかしないようになってきます。

 

 このように、人財育成においてOJTだけではおのずと限界があり、「OFFJT」を組み合わせて行う必要があります。「OFFJT」で代表的なものは、社内外での研修や講習、セミナーなどを受講させることですね。そうすることで業務の新しい知識や技術のインプットはもとより、外の世界を見せることで視野が広がるという効果もあります。

 

 経営者が何もしないで放っておくと、自分の店だけしか知らないスタッフばかりになってしまいます。そもそもスタッフは自発的に勉強しないと心得ていたほうがいいでしょう。残念ですが、これは私の経験上でも疑いようのない事実です。大多数のスタッフは自店だけのことしか見ていません。それどころか、自店のことすらよく把握していないことも多々あります。当然ながら自店だけを見ていても視野が狭くなり、その人自身の成長もストップするのは明白です。

 

 そのような状況に陥らないためにも、店舗経営者はOFFJTに対しても力を入れる必要があるのです。

 

 ただ、思いつきで研修や講習などを受けさせても、一時の満足感が得られるだけで、カンフル剤にもならないでしょう。OFFJTを機能させるには、しっかりとした人財育成の全体像と計画、そして一番大事なのはそのスタッフの「やりたいこと」「できること」「やらねばならぬこと」とのマッチングです。

 

 自分がやりたくもない、興味もないことを無理やりやらせても逆効果になります(もちろん仕事上必要なことについては強制的に習得させなければなりません)。自分が既に出来ていることを研修させても意味はありません。また、お客様や関係者から求められる、「やらねばならぬこと」から外れていては、時間の無駄というものです。ですから、スタッフとのコミュニケ―ションを経営者自身がおこない、スタッフの実力をはじめ、将来の希望や仕事観を掴んでおかなければならないのです。

 

 そうすることで、お互いにとって生産的なOFFJTが可能になります。経営者の単なるエゴで研修をうけさせても、効果が続くのはよくて最初の1週間だけです。その後はきれいさっぱり忘れ去ります。その状況が断続的につづいても、スタッフには何も残らないと言ってもいいでしょう。

 

 経営者の仕事はスタッフが育つ環境をつくることです。そのためには、OJT、OFFJTを組み合わせた、自社にとって最適な育成システムを構築することが肝要となります。構築するにはスタッフの「やりたいこと」、「できること」、「やらねばならぬこと」を把握し、それをベースにして全体を設計することが基本となります。

 

 「やりたいこと」「できること」「やらねばならぬこと」がしっかりとかみ合えば、適材適所となり、定着率も向上します。さらには業績も向上してくるのです。ですから、経営者がまずすべきは「スタッフを知る努力をすること」なのです。それが無ければ、育成システムも何も全くの無駄になります。知ったうえではじめて、効果的な育成の仕組みが出来上がるのです。

 

 経営者の皆さん、スタッフの「やりたいこと」「できること」「やらねばならぬこと」を把握していますか?

 自身のエゴで研修を受けさせていませんか?