コラムNo.62 スタッフが成長するきっかけとは?

 

 店舗の人財育成においては、講師を呼んでの社内研修や、スタッフを社外の様々な研修に参加させることもある程度効果的ではあります。ですが、それだけよりも社内勉強会を開き、その講師をスタッフ自身にさせることでもっと大きな成長を実現することができます。何よりも人に対して教えることが一番の成長につながるのです。

 

 人が理解を進め、どれだけ身についたかということを時系列で表すと、

 

知る

わかる

できる

教える

 

このような流れになります。この流れは当然ながら上から下へ高難度になっていきます。

 

「知る」とは、教わったこと、あるいは自分で調べたことを鵜呑みにしている状態です。

自分の中でその情報を消化できていないため、表面上の浅い理解にとどまります。

 

 「わかる」とは、鵜呑みにしていた情報を消化し、その構造や関係性が理解できている状態です。質問に対し、答えることができ、人に対してその説明をすることができます。

 

 「できる」とは、わかったことをもとに自分のアタマや体を実際に動かして、再現できる状態です。インプットからアウトプットへの変化であり、実際にアウトプットすることで、より理解が深まります。

 

 「教える」とは、自分が理解し、できるようになった事柄を他人に正確に伝えることで、人の理解を促進し、できるようになる手助けをすることです。人に教えることで、自分のレベルを客観視することができ、より大きな成長へとつながります。

 

 野球で例えるならば、「知る」はバットやボールやグローブなど様々な道具を使った『野球』というスポーツの存在が情報として頭に入ることです。細かいルールの事は当然わかりません。何となくこういう感じのスポーツだよね、といった浅い理解となります。

 

「わかる」は使用する道具はもちろん、細かいルールやその歴史などが相当程度頭に入っている状態であり、野球に対する必要最低限の理解は進んでいます。基本的な質問に対しては答えることができ、野球というスポーツが説明できるレベルです。

 

「できる」は実際に野球の試合に参加し、プレイを楽しむことができる状態です。頭と体を動かしてアウトプットし、野球に対してさらに深い理解ができるようになります。まさにプレイヤーとしての仕事となります。

 

「教える」は野球の知識や技術を身に付けたうえで、素人や新人レベルの人に対してその理解を進めることと、実際の体が動くように指導をしていくことです。先輩やベテラン選手、コーチ、監督があたる仕事になります。

 

 以上のように、人の理解は必ずこの流れを辿ります。「教える」ことは最高難度となりますが、それゆえに人を成長させる最大のドライバーとなるのです。ですから、スタッフを講師にした社内勉強会は圧倒的な成果を出せるのです。

 

 「うちのスタッフを講師役にするなんてまだまだ早い」

 「基本的な仕事もろくにできていないのに、任せれるわけがない」

 

 という声が聞こえてきそうですね。確かに教えることは難しいのですが、入社して半年から1年たったスタッフが、入ったばかりの新人に対して教えることは可能です。自身の経験をもとに、新人のためになることを教えるのは無理ではありません。勉強会で教える時間が1020分でもいいのです。

 

 現場でのOJTだけではなく、講師として教える経験は自身の客観視を促し、自分に何ができて何ができないかをはっきりと認識させます。そのことがレベルアップの強い動機づけとなるのです。人から言われてもなかなか動きませんが、できないことに自分で気づくことは、本人は何も言わなくても、強い成長志向を心の中に生み出しています。

 

 ですから、店舗経営者の皆さんはスタッフが自社の基準に対して、ある程度業務をできるようになったら、社内勉強会で講師を務めさせるよう環境を整備することをお勧めします。いつまでも自社のスタッフのレベルが上がらないのは、そのスタッフ自身の問題もありますが、実は経営者の問題かもしれません。

 

 経営者の最も大事な仕事のひとつは、スタッフが育つ環境を整えることです。

人財育成においては、その「環境」がスタッフの成長に大きく影響をあたえるのです。