コラムNo.67 人手不足を解決する策

  店舗ビジネスでは、小売、サービス、飲食など業種を問わず、様々な「問題」が発生します。ここでいう問題とは、ビジネス的に表現すれば「理想の状態と現実とのギャップ」のことであり、小さなものまで含めると、毎日、実にたくさんの問題が生まれてきています。

 

 例えば、現在店舗ビジネスで一番の問題と言えるのはおそらく「人手不足」でしょう。店舗運営をするうえで最低でも10名は必要なのに、5名しか集まらなかった… 求人広告を出しても一人も応募者が来ない… 退職希望者が数名いるが、次の人が見つからないので無理やり続けてもらっている… やっと採用できたが、すぐにやめてしまい、慢性的な人手不足が続いている…

 

 人手不足以外でも、商品の問題として原材料の不足やそれに伴う高騰、競合の出現による類似品の販売、サービスの問題として、属人化によるサービスレベルの格差、社内コミュニケーションの問題としてスタッフ同士の諍い、店長とスタッフ間の価値観の差による溝、あるいはパワハラやセクハラなど本当に大量の問題が日々し、細かいものまで挙げだせば枚挙にいとまがありません。

 

 ただし問題の一つ一つを別々のものとして、モグラたたきのように闇雲に対策を講じていくと必ず失敗します。単なる対症療法では、その場は収まってもすぐに同じような症状が表れるのです。根の部分、つまり問題の本質をつかんで対策を講じないと、常に大量の問題を抱え込むことになります。その場しのぎの不毛な対策は、現場の疲弊を加速させるだけです。

 

 この点、一見別々の問題に見えるものが実は根は同じということがほとんどです。本質をつかんで解決策を講じると症状が一気に収まることが非常に多く見受けられます。

 

 問題の本質をつかむには、「経験」だけではなく、「事実」に着目することです。何が起こっているのか、を正確に知ることで効果的な対策を立てることができます。事実は現場にあり、状況をしっかりと自分の目で確認し、スタッフからの直接的な情報や、店舗における日々の数字を丹念に調べ、分析していくことが唯一無二の本質的問題の発見方法と言えます。

 

 以前と同じような状況に見えても、自らの経験だけで解決できることはそう多くありません。症状は同じでも、その原因はまったく違うことさえありえます。

 

 最近、咳が続き熱っぽい。また風邪か…と思って市販のかぜ薬で済ませる。ところが実際は肺の重大な病気で、気づいたときには時すでに遅し。もっと早く検査していれば投薬程度で済んだのが長期の入院を余儀なくされる。あるいは最悪…   こういうことは店舗の問題でも起こりえます。

 

 経験がある人ほど、経験の中からすぐに答えを出そうとします。そして同じことを繰り返し、根本的に問題が解決されることはありません。堂々巡りの結果、二進も三進もいかなくなり、店舗経営そのものをあきらめてしまい、廃業への道を辿ります。

 

このことは現在の人手不足への対応にも当てはまります。絶対的に人が足りないことは言うに及びませんが、単純に足りない人財を補充するために、採用活動を強化することが解決策でしょうか。しかしそれだとまさに対症療法の最たるものです。

 

 そもそも本当に人が足りないのか。

 

 人手不足だからといって、人を採用することだけが解決策ではありません。解決策は無数に存在するのです。その解決策の中で自社の実情に合ったものはどれなのか。

 

 店舗のオペレーションを単純化、標準化そして自動化することで必要人時を減らすこともできます。あるいは視点を変えて、直営だった店舗を店長に業務委託することで、採用を含めた運営をすべて任せることもできます。事実を知ればこそ、その解決策が効果的に作用するのです。

 

 今までの経験が通用しなくなったからこそ問題が発生します。にもかかわらずそれを経験で解決しようとする。この姿勢はすぐに改善すべきものです。

 

店舗経営者の皆さん、問題を自身の経験だけで解決しようとしていませんか?

店舗現場で起こっている事実を把握していますか?