コラムNo.78 知らないと失敗するファンづくりの順序

  顧客リストとその活用の重要性ついては繰り返し述べていますが、リストをもとにただDMや新作案内をしたところでなかなか顧客にはなってもらえません。顧客化を促すには「顧客化ツール」とともにリストを活用することが不可欠になります。

 

 「顧客化ツール」とは何でしょうか。これは顧客にとってのお得感や利便性、特別感を強く訴求し、店舗へのロイヤリティ向上を促すことで、それがリピート率の向上へとつながり、結果として顧客生涯価値を上げるツールのことです。少し乱暴に言えば来店頻度、客単価を上げるためのツールとなります。

 

 具体的な例では、店舗独自のポイントカードが挙げられるでしょう。使用金額や来店ごとにポイントが貯まり、そのポイントを会計時に使用、あるいは景品との交換ができるツールとなります。ポイントカードについては皆さんも財布の中にいくつもお持ちではないでしょうか。

 

 ポイントカードはどんなに小さな店舗でも簡単に導入することができ、店舗ビジネスでは必要不可欠なツールと言えるでしょう。複雑な仕組みをITで構築せずとも、手作りの紙のカードにスタンプを押すだけでもいいのです。

 

 ただ、ポイントカードはお客様の財布の中にやまほどあります。埋もれてしまわないような工夫は必要でしょう。カード自体の色やデザインにこだわるのもいいですが、カードが財布の好位置に来るために必要な変数は利用頻度です。少なくとも月1回程度の利用を促したいところです。提供するサービスによっては難しいかもしれませんが、カードが目に入ることでリマインダーとしての役割も果たします。DMなどを使いながら、お客様の頭の片隅に残るような施策を地道におこないましょう。

 

 「顧客化ツール」で言うと、上記のようにポイントカードは物理的なものの代表例となります。しかしそれ以外にも、顧客化ツールは顧客化する方法のすべてを含んでいます。

 

 例えば、来店回数により顧客の肩書(課長から部長など)が変わり、特典も増える昇進制度、新メニュー公募と試食会、人気メニュー投票、自社工場見学、商品開発者と直接のコミュニケーション、顧客を集めたファンミーティング、限られた顧客だけを呼ぶ特別招待会、体験入店、1日店長など挙げればキリがなく、顧客との関係性を深めるため、そしてさらに好きになってもらうための方法すべてが「顧客化ツール」になりえます。

 

 顧客化とはつまりお客様がファン化することです。ファン化すると顧客が顧客を連れてきます。勝手に商品を紹介してくれます。そしてよっぽどのことが無い限り裏切りません。つまりお客様が自律的、能動的に動くことで店舗が集客をする労力を減らすことができるのです。

 

 そのためにはまず一人でもいいのでファンをつくることから始めることです。いきなり大勢をファンにすることは不可能であり、徐々に関係性を深めることで少しずつ人数が増えていくのです。プライベートでの友人関係と同様と言えます。

 

 細かい話になりますが、顧客化、ファン化の第一歩はお客様を名前でお呼びすることです。これだけでリピート率は上がります。簡単なことですが、やっていない店が大半です。すべてはここから始まります。名前も知らないようなお客様に濃いサービスは無意味どころか害悪ですらあります。物事には順序があり、顧客化は信頼関係の構築が先に来ます。それがないままにやたらなサービスをすることは既存のお客様にとっても不信感を抱かせます。

 

 お客様にはいい意味での差別化が必要です。みな平等ではありません。ここを勘違いしないようにしましょう。根拠ある差別化をするために顧客リストが存在し、顧客化を推進するために顧客化ツールが存在します。

 

 お客様は基本的に自分だけ特別扱いをしてほしいと思っています。店舗が繁盛するためにはそれを実現しなければなりませんが、そこにはルールが必要です。店舗のスタッフが良かれと思ってバラバラなサービスをしてしまえば、日によってギャップが生じ、お客様の不信、不満を招くことになります。すなわち顧客化どころか店離れを起こすきっかけとなるのです。

 

 そうならないためにも、顧客リストで情報共有し、顧客化ツールの整備、運用方法のルール化を徹底しなければなりません。でなければ単なる好き嫌いでの差別化となってしまい、店舗の悪評が立つことになります。

 

 顧客化ツールは店舗でしっかりと整備し、ルールを守り運用をすることで必ず強力な武器になります。やらない手は無く、やっていない店舗経営者はすぐにでも着手し、サービスを提供するべきです。なぜなら、それがあなたの店を使う理由になるのです。

 

 経営者の皆さん、顧客化ツールは整備されていますか?

 

 スタッフによる属人的なサービスを野放しにしていませんか?