コラムNo.85 ウチでやるか、外に任せるか

  店舗において、商品(モノ、サービス)の生産をどこまで自前でおこなうのか、という判断は最も重要な経営者の仕事の一つとなります。

 

 自社が得意でない業務は、他社に外注することで、自社は強みであるコアな業務に集中することができます。製造業では「内外作区分」ともいわれる考え方です。

 

 当然この考え方は店舗でも同様で、何でも自前で行おうと思えば、それだけヒトモノカネといった資源を用意しなければなりません。

 

 飲食店であれば、自ら野菜や穀物などを栽培し、牛や豚や鶏を飼育しながら、店舗では仕込みから調理の全てを行い、お客様に提供するというモデルになります。これは誰が考えてもかなりハードルが高いでしょう(ごく一部の農家では可能ですが)。

 

 もともと資源の少ない中小零細企業ですべてを自前で行うというのは自殺行為にほかなりません。もちろん手間をかければそれだけ価値が生まれやすいのはその通りです。ですが、資源の少ない中小零細企業がいくら頑張って自前主義を通しても、かけた時間、労力、おカネの割に大した商品は生まれません。

 

 商品は材料から完成品に至るまで、様々な工程を踏んでいます。そのすべてをやろうと思えば、企画や開発、生産に至るまでの流れ、つまりゼロからすべてを考えなければならず、時間の面で他社に大幅な後れを取ります。さらに作業量も多いことから従業員には負担が重くのしかかり、クオリティの低下を招きます。

 

 その結果、売れる時期を逃したクオリティの低い商品ができ、当然売れ行きは芳しくありません。廃棄ともなれば、原価に加えて廃棄コストがかかり、おカネの面でもいいことが無いのです。

 

 自社の強み、つまり中核となる技術や、顧客にとって自社だけが唯一の価値を提供できるサービス以外は、すべてではないにしても、「外注」という打ち手が有効に使える場面は非常に多くあります。ただし、外注が万能なわけではなく、外注先の能力をしっかりと把握、コントロールしなければ、自社の商品のクオリティが下がります。また、外注した業務に関する技術やノウハウが自社に蓄積しないこともデメリットといえるでしょう。

 

 外注にはさまざまなメリットやデメリットがありますが、資源が少ない中小零細企業にとって、外部の力を借りることはほぼすべての企業にとって必要不可欠なものと言えます。

 

 外部の力をうまく使うためには、まずは自社の強みはなんなのか。自社が提供している価値の源泉はなんなのか。ここをはっきりさせる必要があります。そのうえで、何を、どこまで外注するのかを検討していかなければなりません。

 

 野菜を種から育てるのか。市場で素材を仕入れるのか。卸から半製品を購入するのか。完成品を購入し、店舗でそのまま販売するのか。様々な組み合わせがあり、これが正解と言えるものはありません。その判断基準の軸は「自社の強みを生かすこと」です。

 

 コスト面だけで外注を考えては必ず失敗します。かといって自己満足で過剰な価値を提供するために、すべてを自社で行えばこれもまた失敗します(誰もそこまで求めていないことがほとんど)。

 

 繁盛店を目指す経営者にはそこを見極める力が必要とされます。

 

経営者の皆さん、全てを自社だけでやろうとしていませんか?

逆に安いからと言って、重要なコア業務を外注していませんか?