コラムNo.97 最強のスタッフ候補

 大半の店舗ビジネスにおいては、12月は書き入れ時であり、通常の月よりもお客様が多く来店する日々が続きます。当然スタッフも確保しないと店が回らないわけですが、私が関わらせていただいている飲食、小売り、サービス業のあらゆる経営者に聞いても口を揃えたように「人が足りない」としか聞こえてこない状況です。

 

 店舗ビジネス(特に現場)に関しては、報道でもさかんに「ブラックな職業、職場」の烙印を押し、特に仕事を選べる若年層からは敬遠されがちな業種となっています。閑散期ならまだしも、営業していればある程度売上が取れる12月に人が足りないとなると、店舗にとっては致命的な打撃となります。

 

 お客様はいるのに営業ができない、あるいは営業時間や入店数を制限しないと回らない、といった店舗は非常に多く存在します。そこを無理して営業した店舗はさながら戦場のような光景が繰り広げられ、魑魅魍魎が跋扈する地獄絵図と化します(オペレーションは荒れ、商品の提供は遅れ、商品のクオリティは下がり、洗い物は片付かず、お客様は怒って途中で帰り、会計は間違い、店長は怒鳴り、スタッフは泣き、なのに新人が団体客を入れ…)。

 

 そうならないためにも、経営者、あるいは店長が売上予測に応じた人員を確保し、無理のないシフトを作成することが求められるのです。が、この当たり前のことを実現するのは、一朝一夕にできることではなく、非常に困難です。

 

 こうすれば人手不足のすべてが解決する!という方法は残念ながらありません。ただし、経営者が必ずやるべきことはあります。それは360度全方向に自社の求人を展開するということです。無料、有料問わず求人広告で広く募るのは当然として、ハローワークなどの公的機関、取引先やスタッフのネットワークも最大限活用し、「できることはすべてやる」のが経営者の必ずやるべきことなのです。

 

 その中でも特に重要なポイントは、「お客様」です。盲点でもあることですが、一番のお店のファンは間違いなく「お客様」です。繁盛店では、お客様から店舗のスタッフになるパターンが多く見受けられるのです。

 

 お客様であれば、自社の商品、サービスを理解しています。良いところも知っています。改善すべきところも見えています。つまり店舗が一番聞きたい「お客様の声」をもたらしてくれるのです。それどころか、教育期間も最低限で済み、即戦力として働いてくれるありがたい存在なのです。

 

 とはいえ、まずはお客様から支持される店舗になるのが先です。支持されるということは、自社の商品、サービスがお客様の問題を解決し、その対価としてお客様が代金を支払い、結果として売上が取れるということです。

 

 自社が支持されてもいないのに、お客様からスタッフになることを求めるのは虫がよすぎます。まずすべきは商品、サービスを磨くことであり、その支持者を増やしていくことなのです。その段階を経ずに、安易に店舗を拡張したり、増やしたりすると「ヒト」が追い付かず、「モノ」のクオリティも下がり、「カネ」も際限なく消費され、間違いなく潰れます。

 

 お客様から支持される店は、お客さまのほうから「求人はしていないんですか?」とお声がかかります。無論、お客さまだけで必要な人員が揃うわけではなく、先述のように360度全方向の求人をする必要はありますが、これだけ近くにいて、さらに非常に心強い味方となってくれる存在を見逃す手ないと思いませんか?

 

 さて店舗経営者の皆さん。

お客様から「ここで働きたい!」と言われるような店づくりができていますか?

そしてその声をしっかりと聴いていますか?