コラムNo.98 わが社の伝道師

 昨今の人手不足の中、店舗の人材を採用するにあたっては、経営者は360度全方向で臨まねば誰一人採用できないという事態になりかねません。とはいえ、すべて経営者一人で解決できるものでもなく、ある程度多店化が進んだ場合、社内に専任、兼任問わず採用担当者(リクルーター)を設けたほうがより広く人を募ることが可能となります。

 

 リクルーターの定義はそれぞれの会社によって違いますが、ここでの意味はより積極的に社外に対して求人情報を発信し、大学や専門学校に直接働きかけ、学生や第2新卒、転職希望者などのネットワークを広げ、攻めの採用活動をおこなう者を表します。

 

 単なる人事部の一スタッフではなく、経営者の直轄で最低でも一次面接程度の権限はあったほうが良いでしょう。兼任であれば、現業とのバランスを見て、リクルーターとしての時間をしっかりととれるように経営者自身が管理する必要があります。また、待遇面でも当然プラスアルファを与えなければなりません。

 

 リクルーターとして求められる資質は、第一に会社が、仕事が好きであることです。さらに求める人材と年齢が近く、仕事の経験も数年程度はある、社交的な性格の持ち主が良いでしょう。そうすると仕事内容も自身の経験から漏れやズレがなく伝えることができ、職場の雰囲気なども変に飾らず、自分の言葉で語ってくれます。

 

 言うまでもないことですが、リクルーターの活動でも求人媒体の記載内容でも、一番やってはならないのが「ウソ」や「隠し事」をすることです。「そんなの当り前だろう!」という声が聞こえてきそうですが、これは故意、過失を問わず気を付けていただきたいことなのです。

 

 どういうことかというと、例えば残業が多かったり、勤務地が違ったり、試用期間の時給が違ったり、勤務時間帯が異なっていたり、厳しいノルマがあったり、休日数が少なかったり…などなど、自社にとって不利な点を全く伝えないのはNGです。

 

 入社前はバラ色のような世界を連想させ、入社後はまさにブラック企業のようにこき使うのは、モラルはもとより法に触れることにもなりかねません。

 

 プラス面だけ伝えたい気持ちは理解しますが、入社希望者を勘違いさせたまま採用すると、ほぼ確実に大問題に発展します。後にするけんかを先にするとの言葉通り、最初から正直に待遇や条件を伝えるべきなのです。

 

 個人事業や小さな会社は本当に大変ですが、うわべだけ取り繕ってもどうせ後で破綻します。それよりも法に基づき、競合他社よりも魅力的な対応ができる体制を整えることが先決です。そこから、自社のことが好きなリクルーターが生まれ、わが社の伝道師として活躍してくれるのです。

 

 経営者の皆さん。

自社にリクルーター候補者はいますか?

自社のことが本当に好きなスタッフはいますか?