ニュースの論点No.48 小さな店はこの人手不足をどう乗り切ればいいのか

   日本経済新聞は2018325日、「パート10万人、3000店で共有」と題した記事を掲載しました。記事によれば、すかいらーくはファミリーレストランなど傘下の約3千店で、約10万人いるパートやアルバイトの店員が所属とは別の店舗で働ける仕組みを立ち上げる。情報を共有するためITシステムに約100億円を投資。接客業務を統一し、他店舗勤務の時給を上乗せするなど人員の融通を前提にした経営にカジを切る」とのこと。

 

 似たようなニュースで、昨年の9月にファミリーマートが店舗間でスタッフをシェアする計画を発表しています。今年中には全店でその仕組みを導入する予定で、すかいらーくに先んじての動きとなっています。当時、このニュースの論点でも取り上げましたが、今回のニュースを見るといよいよ人手不足の深刻度合いが酷くなってきているのが実感できます。

 

 私も店舗ビジネス(アパレル小売)を現在行っていますが、求人媒体に掲載してもまず誰も応募者は来ません。これは周囲の企業も同じであり、経営者の家族や親族などを駆り出してなんとか運営しているところが非常に多くなってきています。既存のスタッフを自社他店舗に回すのは当たり前で、かなりひっ迫した状況です。

 

 全体として人は足りていませんが、実際にお客様が増え、売上が伸びているのは一部の店舗のみです。新たに採用できたとしても、今度は利益が目減りするというジレンマに陥っている店舗の方が多い印象です。

 

 飲食サービス業の有効求人倍率は全国平均で3倍、東京都内は7倍と言われており、今後もこの状況はしばらく続くでしょう。大手でなおかつ業務が標準化されているところは、今回のニュースのように効率よく人繰りができる仕組みを構築しやすいのですが、中小零細がほとんどの飲食サービス業は、その運営は人に依る部分が大きく、スタッフを代替し辛い環境となっています。

 

 そもそも規模の小さい、数店舗展開の企業はマンパワーで運営しているところが大半です。業務の標準化もままならず(それが強みでもありますが)、大手ほど高給を提示することは困難です。そのため現在のような全国的な人手不足に陥ると、その影響をもろに受けてしまうのは自明となります。それに追い打ちをかけるように、既存のスタッフに対しての負担は増大します。いわゆるブラック状態となり、退職を誘引することにもつながり、一人がやめれば連鎖的にどんどん退職希望者が増えていきます。

 

 ではどうすればいいのでしょうか。一発で解決できるような策は当然ながらありません。一つ一つの小さな、そして当たり前の積み重ねが大事となります。

 

 既存スタッフについては、現在の待遇改善、将来のキャリアコースの明確化、経営者との密なコミュニケーション、経営理念の再構築など、ごく当たり前のことを地道に実践していくのが一番の解決策です。

 

 また、新規スタッフを採用したい場合は給与額のベースアップ、定休日の導入、営業時間の短縮、勤務時間の短縮などで職場環境を整備し、アピール材料にするとともに、もっとも重要なのは自社が必要としている人財の言語化、社内での共有です。それを社内全体であらゆる場所に発信していくことです。

 

 既存、新規の人財を問わず、並べてみれば当たり前のことを実直にやることが人手不足への唯一の対策となります。一つ言えるのは、今のままでやっていても状況は絶対に改善されないということです。座して死を待つのみ…という店舗も全国には少なからずあります。そういった店舗は当然後継者もいないため、廃業するしかなくなります。それが望みであれば何も言うことはありませんが、もし継続した店舗経営をしていきたいということであれば、前述の施策を地道に行うようにしてください。

 

 厳しいことを言うようですが、誰も助けてはくれません。皆、自分のことで精いっぱいなのです。自社のことは経営者が守らなければ、誰も守ってはくれません。そのための準備、計画、実践をしっかりとおこなうことで、経営者の仕事である、「将来をつくる」ことが可能になるのです。

 

経営者の皆さん、スタッフが定着する社内の仕組みを構築していますか?

 

現状を嘆いているばかりになっていませんか?