ニュースの論点No.106 余剰在庫の行く末

 「ゲオが新業態 新品の服、最大8割引き 余剰在庫 企業から仕入れ」201956日、日経MJはこう題した記事を掲載しました。記事によれば「中古品リユース最大手のゲオホールディングスは、他社で余った新品の在庫を取り扱う新業態店の展開に乗り出した。メーカーや小売店から直接商品を買い取り、自社店舗で販売する仕組み。新品に近い未使用品を定価の38割引きで販売する」とのこと。

 

 また、「衣料品ではプーマ、マークジェイコブスなど約100種類のブランドを取り扱う」そうで、203月期中には郊外を中心に5店舗の出店を目指すとのこと。

 

 これはいわゆる「バッタ屋」といわれる業態で、記事中にも紹介がありますが、大阪のshoichiが企業として国内では既に展開しています。

 

 ビジネスモデルとしては、冒頭でも触れている通り、アパレル企業や小売店で売れ残った不良在庫を大量に安く買い取り、自社で販売したり、小売店に転売することで利益を得る仕組みとなります。通常、売れ残った商品は店頭にてセール価格で販売され、その後ファミリーセール、アウトレットを経た後、焼却処分されるか、ゲオやshoichiをはじめとした在庫処分業者に流れます。買取価格は1点当たり数百円が相場で、売る側からすれば焼却処分するよりはまし、といった状況でしょう。

 

 日本国内のアパレル流通量は30億点以上と言われており、そのうちの約半数14億点が余剰在庫、つまり売れ残りという試算になっています。shoichiには年間500万点が届くということですが、すべての余剰在庫からすれば0.3%ほどの点数であり、各メーカーや小売店は転売のほか、相当数を焼却処分していると考えられます(2018年、バーバリーが42億円分の売れ残りを焼却処分したことが明るみになり問題になりました。今さらという感じですが…)。

 

 在庫処分業者へ売却する際、多くの場合でブランドタグをカットし、どこのブランドかわからなくするようにします(ブランド価値を維持するため)。この点、ゲオはブランド名を出していますので、タグカットは行わず、そのままの状態で販売するのでしょう。最近では余剰在庫のタグを付け替えて、新たなブランドとして再度販売する業者も出てきています。

 

 ともあれ、在庫過多がすべての元凶であり、アパレル業界の仕組みそのものを変えていかなければこの問題は解決できません。ゲオやshoichiといった業態は時代の要請であり、問題解決にも一役かっている反面、余剰在庫の規模からすれば焼け石に水の規模で単なる対症療法ともいえます。無論、彼らも儲けるために事業を展開しており、環境保全を第一義とする非営利団体ではないため、問題解決を押し付けることはできませんが…。

 

 この問題にはいずれ大きく揺り戻しがくるでしょう。とはいえ各アパレルメーカー、小売店には少しでも早く在庫問題を解決できるよう、他社の猿まねのような商品政策や、機会ロスを過剰に恐れた無駄の多い在庫計画を見直していただきたいと強く感じます。