ニュースの論点No.107 黄色と黒は…

 

 「大阪王将、赤→黄色で売上高増える 店舗の看板を改装」201958日、朝日新聞デジタルはこう題した記事を掲載しました。記事によれば「店舗の看板を赤から黄色に変えたら、店の売り上げが3割増えた ギョーザチェーン、大阪王将を展開しているイートアンドの仲田浩康社長はそう話す。」とのことです。

 

 また、「黄色い王将への改装は昨年末から進めており、現在は全346店のうち7店。改装の費用以上の効果が出ている」としています。看板を変えて売り上げが伸びた店舗は西五反田店で、売上と客数が前月比で130%を記録したそうです。

 

 情報としては1店舗のみの結果だけであり、看板を変えた他の店舗のデータは確認できないため、何とも言えないのが正直なところですが、それ以外の要素がなければ看板を変えたことによる影響も多少はあるのでしょう。

 

 看板を「赤と白」から「黄色と黒」に変えたとのことですが、色の組み合わせで最も視認性が高いのは黒地に黄色、次に黄色地に黒と言われています。黄色は最も明度が高く、高彩度のため、黒との組み合わせでは視認性が最も高くなるというわけです。

 

 また黄色と黒は警告色とも言われ、自然界では蜂に見られる配色ですね。それを応用したのが踏切の配色であり、人に対して注意を喚起するには一番わかりやすい配色とも言えるでしょう。

 

 さて、大阪王将の看板の配色ですが、視認性の高い黄色と黒に変えたことで人々の目に届きやすくなったのは間違いないでしょう。店の存在に今まで気づかなかった人の来店が増えたとも解釈できます。

 

 ただし、ここで注意が必要なのは、売上が伸びた要因を看板の配色だけに求めると本質を見失う恐れがあるということです。もちろん看板の影響は大きいと思われますが、人はその習性として何にでも因果関係を求めたがります。そしてそれをつなぐ理由を、自分の知っている知識だけで説明し、つじつまを合わせることで安心してしまうのです。私が先述したような、やれ視認性が… やれ警告色が… などがそうですね。

 

 間違いではないが、それだけでは決してない。ここを常に頭に入れておく必要があります。でなければ、表面上だけの理解にとどまり、安易な猿まねのコピー店舗となってしまいます。今回のニュースを見たことで、まさか自店の看板を黄色と黒に変更しようと思う経営者はいないと思いますが、もし変えようと思った人がいれば、少し間をおきましょう。本質を見抜くことが肝心です。

 

 「目立つ」こと自体は決して目的ではありません。自分の店がどういう立地でどんなお客様に来てほしいのか、提供する商品は何なのか。どんなイメージを持ってほしいのか。当たり前ですが、最低でもここは押さえたうえで看板の配色も決める必要があります。つまり看板一つとってもそれは戦略の一部だということです。

 

 店舗経営者の皆さん。自店の看板を再度見直してみましょう。新たな気づきがあるかもしれません。