ニュースの論点No.108 口紅をつけてネクタイを締める

 

 「メーク男子 週5日で口紅」2019515日、日経MJはこう題した記事を掲載しました。記事によれば「リクルートライフスタイルがまとめた13~39歳の男性メークの意識調査によると、20~24歳のメーク経験者は平均5.1日で口紅やグロスを使用していた。マスカラも週4.7日の使用頻度だった。全体の約3割がメークをする機会として「会社に行くとき」と回答した」とのこと。

 

 なかなか衝撃的な内容ですが、この調査はあくまでメーク経験者に対してのもので、世代全体にランダムで聞いたものではないことに注意が必要です。とはいえ、会社に行くときに男性がメークをすると聞くと(しかも口紅)、理解するのに少し時間がかかります。

 

 別の調査で、サンケイビズの記事では「20代~40代の男性329人に対しアンケートを行ったところ、20代では約半数、30代で約4割の男性が基礎化粧品を毎日使用していた」ということがわかりました。このデータは基礎化粧品なので、メークと同列には語れないものの男性の美容に対する意識が高まっていることが分かります。

 

 さらに別のデータでは「男性の8割以上は男性メーク“するのはあり”、うち3人に1人は自分もやりたい、すでに化粧している、20代後半の6人に1人は化粧した経験がある(メンズリゼ調査1020代男性343名)」とのことです。

 

 いずれの調査も母数が少ないため、世の中の傾向を表しているかどうかは不明ですが、実体験として街中を歩くとメークしている男性にほぼ必ず遭遇します。少数派かもしれませんが、冒頭の記事のような男性が少しずつ増えているのは間違いないでしょう。

 

 男性メークの黎明期といえば、1970年代では沢田研二、80年代は坂本龍一が所属していたYMO、忌野清志郎などが挙げられるでしょうか。もちろんそれ以前もあったと思われますが、一般の人が目にするようになったのはこの時代からだと考えられます。

 

 ただ、彼らの場合、現在の男性メークとは少々趣が違う印象です。当時は装飾や世間へのアピール、あるいは奇をてらって…といった部分が強いと思われますが、今はより中性的、さらにきれいに見せるため、自分自身の美容のため、言わば女性と同様、本気でメークしている男性が多いように感じます。

 

 40歳以上の店舗経営者の中には男性メークの広がりに対して理解に苦しむ人が多いのではないでしょうか。私もまだまだ違和感が残ります。しかしこれが現実です。世の中の流れには逆らえません。お客様でも、スタッフでも、その性格、性質、趣味嗜好の違いを認め、理解をする必要があるのです(公序良俗に反しない限り)。

 

 じゃあもう面倒くさいから「なんでもありだ!」といった短絡的思考はNGですが、時代の流れを感じ取るセンスは絶対に持つべきです。個人の価値観を認め、多様性を重んじる姿勢は繁盛店にとって必要不可欠なものです。最初から拒絶反応を見せないような、柔軟性を持ちたいものです。