ニュースの論点No.110 ギネスとまんじゅう

 

 「博多通りもんが 最も売れたあんこまんじゅう ギネス認定」201963日、毎日新聞はこう題した記事を掲載しました。記事によれば「福岡の土産物として人気の菓子「博多通りもん」が、昨年1年間に最も売れたあんこまんじゅうとして、ギネス世界記録に認定」としています。

 

 「2018年の売上は759126万」で「現在は年間6400万個を生産する」とのこと。博多通りもんの歴史は意外と浅く1993年に発売開始。福岡都市部から出ない地域限定戦略を取っています。訪日客の売上は57%ということで、基本的には国内客への販売がメインとなっています。

 

 博多通りもんは私も数回食べたことがありますが、土産物によくある安っぽさは無く、いわゆる洋風和菓子として高級感のある味という印象があります。それにしても地域を限定しているにもかかわらず6400万個を生産(売上個数も同程度)するのはすごいと感じます。

 

 福岡県によれば、県全体の観光入込客数は2017年の数値で6322万人としていますので、かなり乱暴な単純計算で観光客が一人1個(通常セット販売ですが)は買っていることになります。福岡県にはお菓子のお土産として、名菓ひよこや博多の女、千鳥饅頭などやまほどありますが、その中でも博多通りもんは断トツ人気を誇っていると思われます。

 

 その証拠のひとつに、セブンイレブンではPBにおいて、形状、味ともに博多通りもんのコピーとしか思えない「ミルク餡まん」を展開しています。販売開始時期は不明ですが、2017年にはすでに展開されており、その当時は品薄で手に入らないといった情報がネット上にも上がっています。

 

 セブンイレブンが真似するほどの人気ぶりであることは間違いなく、本家がギネスに認定されたのもうなずけます。ちなみに、ミルク餡まんはその完成度の高さからジェネリック通りもんなどと呼ばれ、普段通りもんが手に入らない人からの支持も得ているようです。また、通りもんが好きでしょうがない人の中には禁断症状?!が出ることもあり、その症状は「通行止め」と呼ばれているそうです(ごく少数だと思いますが)。

 

 セブンイレブンの商魂はたくましく、通りもんのほかにも、仙台の銘菓「萩の月」(セブンではふわころ)、京都の「阿闍梨餅(あじゃりもち)」(セブンでは小豆もちり)、北海道の「マルセイバターサンド」(セブンでは濃厚クリームのレーズンサンド)など積極的に展開しています。セブンではまとめてジェネリック菓子と呼び、店頭POPにて打ち出している店舗も見られます。

 

 さて、博多通りもんに話を戻すと、店舗ビジネス経営者にとって学ぶべきはその「ブランド力」でしょう。福岡土産と言えば「博多通りもん」という想起をさせるまでの努力は並大抵のものではなかったと思われます。それが25年後、ギネスに認定されるまでになっているのですから、大したものだと思います。

 

 店舗ビジネスのブランドとは言い換えれば「看板商品」であり、これがない店舗は苦戦を強いられることがほとんどです。特に経営資源の少ない中小企業は、まずは1点集中で自社の看板商品、ブランドをつくることが先決であり、最重要課題です。

 

 「なんでもある」は「なんにもない」と同義です。店舗経営者の皆さんも、まずは自社の「売り」は何なのか。自社は何に注力していくのか。これらを明確にしたうえで資源配分を行いましょう。当たり前のことですが、できていない会社が多く、それだけでチャンスが広がっていきます。