ニュースの論点No.112 わかっちゃいるけどやめられない

 「衣料品、半分が売れ残り」2019613日、日本経済新聞はこう題した記事を掲載しました。記事によれば「アパレル業界のセール頼みに歯止めがかからない。2018年に投入された衣料品のうち、実際に売れたのは46.9%にとどまり、約30年前と比べて半減した。収益性よりも売上高を重視する慣行から抜けきれず、売れ残った商品を値引きする悪循環に陥っている。」

 

 記事では、「国内で18年に出回った衣料品は29億点と1990年と比べて2.5倍に膨らんだ。これに対し購入されたのは約13億点にとどまり、市場に投入された衣料品のうち半数以上が売れ残った。」とも伝えています。記事のグラフを見ると、消費数量は30年間ほとんど増えておらず(90年時点で約11億点、18年は13億点で約20%増)、一方の供給量はその間で2.5倍(18億点増!250%!)になっていることから、誰が見ても無計画な作りすぎであることは明白です。

 

 衣料品に関しては、近年、その在庫過多の状況が問題視されています。90年代からユニクロやZARAなどファストファッションの台頭で衣料品が市場に出回る量が爆発的に増加し、現在でも少しずつ増えているという状況です。衣料品の工場が多く存在する中国やアジア諸国では、最小ロット数が非常に大きく、少量だと請け負わないことも衣料品の在庫過多に拍車をかけています。

 

 他方、ファストファッション以外の低価格ブランドも、当然量を作って数を売らなければ採算が取れないビジネスモデルとなっています。また、百貨店やファッションビルにあるような中価格帯のブランドは、ある程度の品質を持つ低価格品が増えつつある状況の中で、定価で売れる量が少なくなってきています。

 

 このことから、中価格帯のブランドはセールで売ることを前提に価格設定をおこない、値引きしても利益が出るようにしています。つまり品質に釣り合わない価格となっているため、顧客から簡単に見抜かれ、さらに売れなくなるという悪循環となっているのです。

 

 国内アパレルの現状は、誰がどう見ても過剰ブランド、過剰店舗、過剰在庫です。さらに劣悪な品質、あふれるコピー商品、志のないメーカー、死んだ魚の目となっている販売員、店舗を増やすことだけしか能がないデベロッパー、現場任せの百貨店… 決して悪いところばかりではないのですが、現状は惨憺たるものです。

 

 その割を食うのは消費者であり、結局まわりまわって作り手側にも負の影響が生じます。当然ながら環境にも悪影響を与え、なにもいいことはありません。いずれ淘汰されていくことにはなりますが、業界総出で死を早めている今の状況は一刻も早く変えていくべきだと心底思います。

 

 私も含めて、供給者側、消費者側双方が考え、行動すべきです。赤字、あるいは利益が出ていないような状況の供給者は「やめる決断」も時には必要となるでしょう。消費者も、ネットで服が簡単に変えるようになった今こそ、しっかりと見極めて「良い買い物」をしてほしいと切に願います。