ニュースの論点No.117 税込み価格は損か得か

 

 「KFC、店内・持ち帰り同額に」2019720日、日本経済新聞はこう題した記事を掲載しました。記事によれば「日本KFCホールディングスは19日、消費増税に伴う軽減税率の導入後も持ち帰りと店内飲食の税込価格をそろえると発表した。」としています。

 

 持ち帰りと店内飲食の税込価格をそろえるのは、ファストフードチェーンではKFCが初めてとなります(ちなみにレストランチェーンのサイゼリヤは店内と持ち帰りを同一価格にすると本年4月に発表しています)。軽減税率では、持ち帰りは8%、店内飲食は10%と税率が分けられており、レジでの混乱や持ち帰りといって店内飲食をした場合の対応など、様々な問題が発生するとみられています。

 

 私の意見はすでに何回も言っていますが、軽減税率自体がはっきり言って何も生まない愚策だと思っています。海外でも軽減税率はありますが、日本ほど税率の差が小さくなく、また、導入して数十年のEU各国でもうまくいかずに苦戦している国が多いようです。

 

 軽減税率導入による事務処理のコストは膨大になり、低所得者対策としても効果は薄い。それどころかさらに格差を助長する恐れもあります。これら詳細な説明は省きますが、軽減税率を導入するくらいなら、すべて10%にするか、増税をやめるかにした方がまだましでしょう。

 

 そもそも増税して景気が良くなることはなく、軽減税率をはじめ、キャッシュレス決済で5%還元など小手先の何の役にも立たない愚策を弄しても、増税による景気悪化を止めることはできないでしょう。むしろ、無駄に税金を使って「終わり」になる可能性が高いと思われます。

 

 KFCは持ち帰り、店内飲食いずれも税込価格を同一にするということですが、私でも同様の対応をすると思います。商品によっては持ち帰りが実質値上げか、もしくは店内飲食が実質値下げとなりますが、あらゆる問題が想定される中、同一にしておいた方が混乱は減ると思われます。

 

 先に挙げたサイゼリヤは、持ち帰りには包装コストがかかるため、実質的な値上げをして店内飲食と税込み同一価格の理由の一つとして説明しています。この理由も一つの手でしょうし、そもそも持ち帰りと店内飲食で税率を変えること自体、無理がある発想なので、はっきりと混乱を防ぐために同一価格にしていると説明しても構わないと思います。

 

 以前このメルマガでもお伝えしていますが、財務省は税率の異なる持ち帰りと店内飲食の本体価格を調整して税込み価格を同一にする「疑似一物一価」を推奨しています。一体軽減税率は誰のためにやっているのか、もう何がなんだかよくわからない話ですが、消費者でもある私たちは、自分の頭でしっかりと考え、行動しなければ簡単に企業にも、国にもいいように使われ、振り回されるだけとなります。物事の一面だけではなく、常に多面的な視点から本質を見抜き、自分の判断の軸を持ちたいものです。