ニュースの論点No.128 顧客の高齢化はビジネスモデルの高齢化

 「危機のアパレル 百貨店・アパレル蜜月に幕」2019107日、日経MJはこう題した記事を掲載しました。記事によれば、「オンワードホールディングスが国内外の約2割に当たる約600店舗の閉鎖を決めた。」「百貨店を主力に出店拡大を続けてきたが、百貨店の客層が高齢化し、2030代の若者のシェアが低い」とのことです。

 

 百貨店ブランドの競合各社では、ワールドがすでに2016年に500店舗を閉鎖し、TSIホールディングスも260店舗を閉鎖しています。今回のオンワードによる店舗閉鎖が遅きに失した感は否めません。営業利益は出ているものの、営業利益率2%前後を推移し、業績は厳しい状況です。

 

 ちなみに百貨店売上高は2018年が58870億円と、ピークである1991年の97131億円から実に40%、額にして4兆円も減少しています。しかもほぼ一貫して減少基調が続いており、このままいけば確実に衰退、消滅の道を辿るでしょう。その百貨店にくっついている百貨店ブランドも同様です。

 

 そもそもの話、百貨店における2030代の若者のシェアが低い状態は20年以上続いています。私も百貨店に多少関わっていますが、実感として客層は昔から4050代が中心です。今はそれが6070代にシフトした(つまり同じお客様が年を取った)にすぎません。

 

 結果論ですが、百貨店の終わりの始まりは1991年から始まっていたのです。ファストファッション、郊外の大型SC、ネット通販など、百貨店を揺るがす環境変化の波はとどまることなく押し寄せ、それは誰が見てもはっきりとわかる変化であり脅威でした。

 

 その中で小手先の対応はしたかもしれませんが、現状(実際の売場や仕事ぶり)を見るに、変わっていないことのほうが多いでしょう。それが見事に数字に表れているだけです。結局新たなお客様は獲得できず、同じお客様に何十年とご愛顧いただくことで、何となくだましだまし運営してきただけでしょう。

 

 お客様の高齢化はどんどん進み、顧客リストからは優良顧客が容赦なく削られていきます。百貨店が百貨店として復活することはもうないでしょう。業種業態を大きく変えるしか道はありません。平日の百貨店でうろうろと所在なく巡回しているフロア担当者や、テナントで暇そうにしている販売員を見るにつけ、むなしさを強く感じます。

 

 環境の変化を感じているはずですが、なぜか何もしない。自分だけは大丈夫だと勘違いしている。そんな人が百貨店に関わらず、私の周りにも非常に多いと感じます。とりわけ過去の栄光は百害あって一利なしです。自分への戒めとしてもかみしめていきたいと思います。