ニュースの論点No.13 これは進化なのか

2017723日の日経新聞電子版に

“ギンザシックス、「満足」「がっかり」”

という記事が掲載されました。

 

記事によれば、来店客100人に「星5つ」を

満点として、銀座シックスの満足度をアンケート

したところ、平均で「星3つ半」だったとのこと。

 

ちなみに使用金額は平均11277円、6割は

5000円以下となっています。

アンケートに答えた人の大半は高額な

アパレル商品ではなく、食品や飲食店の

利用が主なようです。

 

記事では様々な感想が述べられていましたが、

今後はどうなっていくでしょうか。

 

ギンザシックスは松坂屋銀座店跡地や

近隣の土地も含めて、市街地再開発事業を

活用して鳴り物入りで2017420日にオープンしました。

 

シックスに入る241店舗のうち、半数が

旗艦店であり、「ここでしか手に入らない

最高のクオリティを集めた」ことが売りの一つ

となっています。

 

また立替前は百貨店だったモデルを、テナントから

固定賃料を受け取る不動産型に変更し、

「脱百貨店モデル」としても注目されています。

 

2017726日現在、オープンより

3か月が経過しています。

 

売上については、ブランドによって異なりますが、

おおむね目標どおりとの見解が出されています。

 

私も遅ればせながら6月に入って足を運んでみました。

 

420日のオープン時は2500人が列をなし、

9万人が来館。57日には累計152万人を記録

したとのことで、当日もかなり多いことを

予想していましたが、意外とすんなりと入店でき、

比較的ゆっくり館内を見て回ることができました。

 

入店してみると、やはり建物自体の洗練された

スタイリッシュな空間と、草間彌生のオブジェを

はじめとした世界でも最先端の店装や見せ方による

ラグジュアリーさに「おお、すごいな…」という第一印象を持ちました。

 

6階には蔦屋書店が店を構え、スターバックスコーヒー

を併設。「世界一のアート書店」を目指すだけあって

世界中から6万冊のアートブックが揃っています。

かなり感度の高い店づくりがおこなわれ、

インスピレーションがどんどん湧きそうな

空間となっていました。

 

屋上庭園にも足を運ぶと、想像以上の緑の多さに

驚きました。ベンチも多く用意されており、

東京タワーやスカイツリーも見渡せます。

 

屋上庭園は朝7時から開放してあり、

様々な使い方ができそうでした。

 

と、ここまでつらつらと感想を書いてみましたが、

こんなことはネットやガイドブックにも書いて

ありますので、ちょっと違う視点で分析したいと思います。

 

ギンザシックスは新規の商業施設であり、

しかも日本の銀座の中心部という立地で

当然参考になる部分は多くあります。

 

しかしながら、これまでも多くの商業施設

を何十何百と見てきた経験も踏まえたうえで

申し上げれば、多くの中のひとつ、つまり

今までのものとさして変わらないのでは…

という印象も持ちました。

 

ギンザシックスも含め、新規の商業施設は

得てして入店数も多く、非常にパワーがあります。

それだけを見て、もろ手を挙げてすごいすごい

とも言えないでしょう。

 

そしてこれは商業施設に限らず、なんにでも

当てはまることで、この世の常ですが、

そのもの自体はあっという間に陳腐化します。

 

だからといってギンザシックスが大したことが

ないということではありません。

 

前述しましたが、参考にできる部分は多くあると

思います。

 

偉そうなことをいうわけではありませんが、

何かこう今までの延長線上でしかないのかな…

というのが正直なところです。

 

ギンザシックス自体はすごい空間だと思いますし、

テナントもすごい面々が集まっています。

 

国内、海外の富裕層をターゲットにしている

のでしょうが、しかし何かが足りないような、

何かこう白々しい感じがしてしまう…

 

ビジネスモデル自体は目新しいものではなく、

百貨店が他のデベロッパーと組んで、不動産業を始めた

だけのことです。

 

百貨店からすると、これまでにない形の店ができた、

ということなのでしょうが、お客様から見て、

百貨店だろうが、駅ビルだろうが、ファッションビルだろうが

ショッピングモールだろうが関係ないうえ、その違いを

説明できる人はほとんどいません。

もっと言うと、気にしている人は誰もいません。

 

百貨店やデベロッパーを否定はしませんが、

どうも供給者の論理で動いているように感じます。

「どうだ、すごいだろう」というにおいがするのです。

 

これだけのプロジェクトを完遂させるだけでも

すごいことだと思います。

ただ、だからこそその力を既存の延長線上ではない

価値を生み出してほしいと期待してしまうのかもしれません。

 

じゃあ代案を今すぐ出せと言われても

なかなか難しいですが、こういう違和感とか

フィーリングを言葉にするのは大事なことである

と私は思っています。

 

箱を作ってブランドを集めてモノを売る、

という今までの商売の基本というべきものの

限界が見え始めているような感覚があります。

 

それが悲しいことというよりは、

時代の大きな流れであり、生き残るために

必要な新陳代謝だという認識を持ち、

つねに変化を恐れず前に進みたいものです。

 

以上、今回は答えという答えがないですが、

所感といったところで締めくくりたいと思います。