ニュースの論点No.130 ダイナミックプライシングを考える

 「ノジマやビック、瞬時に価格変更 需給を反映」20191021日、日本経済新聞はこう題した記事を掲載しました。記事によれば、「需給や繁閑をみて価格を変動させるダイナミックプライシングが小売業に広がってきた。」としています。

 

 もともとダイナミックプライシングは航空券やホテルで活用されていましたが、近年はネット通販大手のアマゾンなども取り入れています。供給量に制限がある商品やサービスの価格は、経済学の需要供給曲線でも習った通り、市場によってコントロールされる側面があります。

 

 数に限りがあるモノをみんなが欲しがれば当然価格は上がり、逆の場合は価格が下がります。すべてにおいて当てはまるということはありませんが、大半の場合は需要と供給の影響を受け価格が変動します。

 

 ホテルや航空券は「予約」という変数があるので、前もって需要が見極めやすく、ほぼ自然にダイナミックプライシングとなる業態です。小売(生鮮食品以外)は人気商品の予約を除けば、実際にモノが売れてから、あるいは売れないことからその需要量が判明します(ある程度の予測はできますが)。そこから価格に転嫁するという動きになるため、ワンテンポずれがあることは否めません。

 

 そのずれが需給、繁閑の情報が即時で反映される「電子棚札」の導入によりほぼなくなり、リアルタイムでの価格変動、つまりダイナミックプライシングが実現しつつあるのです。

 

 家電量販店と言えば、「他店よりも安く」といった販売戦術の印象が強いですが、ダイナミックプライシングが正しく導入されれば、ある意味安心して買い物ができるとも言えます。販売スタッフの権限で値引きする商慣習がどうなるかは不明ですが、普通に考えれば、そこまで織り込んで価格に反映させるのでしょう。

 

 ダイナミックプライシングと言えば、ユニバーサルスタジオジャパン(USJ)が20191月より導入したこともご存知の方が多いのではないでしょうか。入場客数が増加する時期(春休み、夏休みなど)に料金を上げ、閑散期には料金を下げる。

 

 言われてみれば当たり前のような仕組みですが、慣れるまでは顧客の反応もさまざまでしょう。しかし、高くてもお金を出す顧客が存在するならば、モノやサービスを提供する企業からすれば、合理的な仕組みであり、早かれ遅かれその流れに乗らざるを得なくなるでしょう。

 

 著名アーティストのライブチケットやプロスポーツの観戦チケットなど、いまだに高値で転売されている状況はまさに原始的な需要と供給の法則の最たるもの言えます(不正転売禁止法が2019614日よりスタートしてはいますが)。とは言え、ダイナミックプライシングが万能ということではありません。売り手側が悪意のあるコントロールをすれば、買い手側は不当に高値の商品をつかまされます。

 

 今後、消費者としては、積極的に情報を集め、自ら考え行動し「買い物リテラシー」を高めつつ、対応していく時代となるのは間違いないでしょう。