ニュースの論点No.132 AIはいいことばかり?

 「AI×カメラ 飲食店の接客向上」2019116日、日経MJはこう題した記事を掲載しました。記事によれば、大阪市の会社が提供するサービスにおいて、「客が着席した位置や年代、性別を映像解析で把握。来客、注文履歴を踏まえて、お薦めメニューを提案する」とのことです。

 

 加えて、「客が同意の上で会員登録をしていれば、映像解析から○○さんが来店」と分かり、接客に生かせる。」「機転の利くベテラン店員がいなくても、システムを活用すれば経験の浅い店員でも接客レベルを上げられるとする。」と伝えています。

 

 人手不足の折、飲食店にとっては非常に助かるサービスだと思います。お客様にとっても、知らないスタッフに一から説明する煩わしさから解放され、毎回快適に店を利用できそうです。

 

 と何も考えずに書きましたが、ちょっと落ち着いて考えてみましょう。本当に良いことばかりなのでしょうか。現場の負担は減るうえ、運営人数も少なく済み、さらにお客様にとって痒い所に手が届くサービスが提供できる。まあ確かに悪いところはないようです。

 

 しかし、記事の中に少し気になる部分があります。「システムを活用すれば経験の浅い店員でも接客レベルを上げられる」ということですが、これは決して接客レベルが上がっているわけではなく、接客時に過去のデータを参照し、付け焼刃的なサービスを提供しているにすぎません。

 

 表面上はお客様にとっても「おお、私の好みをよく知っているな」となりますが(なるのかどうかは?)、結局その場しのぎの対応であり、それが接客レベルの向上というのは少し無理があるでしょう。お客様もバカではありませんので、それがAIの仕事だということは理解しています。

 

 極論すれば、人がサービスをしなくてもよいわけで、わざわざ「人」の接客レベルを向上させなくても、AIのサービスがあれば、お客様にとっては別に問題ないことになります。

 

 しかし、事はそう簡単ではなく、人がいない飲食店というのもなかなか味気ないものだと思います。まして、好みをデータ化するような飲食店ということは、ほぼ間違いなく顧客商売であり、人によるサービスが重要になるのは火を見るよりも明らかです。

 

 結局、人材育成は避けられない道であり、AIを使ったサービスを否定するわけではありませんが、「ある程度」にしておかないと、逆にお客様が離れていく要因となってしまい、自らの首を絞めてしまうことになりかねません。

 

 人がいないからと安易にAIを使った「便利なサービス」を導入することは、プラス面もありますが、マイナス面も存在します。最悪の場合、人の能力低下を招いてしまうでしょう。最新の技術は「人の能力」を生かすために使いたいものです。