ニュースの論点No.155 ムダなコストの温床

 「アパレル大手 三陽商会 4期連続最終赤字 最大150店舗を閉鎖へ」2020414日、NHK NEWS WEBはこう題した記事を掲載しました。記事によれば、「三陽商会の今年2月期の決算は、売上が688億円、最終損益が26億円の赤字となりました。最終赤字は4年連続です」としています。

 

 三陽商会はこれまで12月が決算月でしたが、2020年より2月に決算月を変更しています。変更の理由として、「ファッションを扱う事業を主体とする当社にとって、春夏・秋冬商品というシーズン性の高い事業運営と決算期を一致させることが合理的であると判断」としています。かなり今さら感が強い変更ですが、一部の株主から身売りも迫られており、様々な思惑がある中での判断なのでしょう。

 

 さて、三陽商会の店舗数は現在約1000店舗あり、150店舗の閉鎖となれば、全体の15%が失われることになります。そしてそのほとんどは百貨店でのインショップ展開となっているため、百貨店側も後釜のテナントを見つけるのに四苦八苦するでしょう。しかも三陽商会のブランドより売れるテナントはほぼ入らない(あったらとっくに入っている)ので、百貨店の価値もさらに下がります。

 

 ここで三陽商会のバランスシートを確認すると、バーバリーのライセンス契約が終了する前年の201412月期の現預金は274億円ありましたが、直近の20202月期は129億円と5年で50%以上が失われています。企業経営はキャッシュがすべてといっても過言ではありません。もしこのままのペースで行けば(ないとは思いますが)、5年と持たずジ・エンドです。

 

 現預金が大きく減少している要因としては、バーバリーを失った年から4期連続で赤字を計上していることが一番に挙げられます。そもそも直近の数字では営業利益の段階で28億円のマイナスであり、このマイナスも4年間継続しています。つまり営業を続ければ続けるほどお金が失われる状態なのです。

 

 コロナの影響もあり、不採算店舗の閉鎖は避けられない喫緊の課題といえます。ただし、不採算店舗を切っただけで経営状態が改善することはありません。三陽商会は2018年に希望退職で247名を人員削減しましたが、今回もさらなる固定費の削減、つまりムダな本部費用=価値を生み出していない人の退場が必要になるでしょう。とはいえ希望退職制度では有望な社員からやめていきます。本部の社員でも実力主義で歩合制にするなど、社員全員が覚悟をもって変革するほかないでしょう。

 

 バーバリーバブルで増えすぎたムダなコストを真剣に削減しなければ、利益の出る体質には程遠いと思います。結局、今の状況を見ればバーバリーだけが潤沢な利益を出し、その他のブランドがおんぶに抱っこだったことが誰の目にも明らかです。

 

 自力での再建はこれが最後のチャンスになる可能性があります。ぜひ今期は黒字化していただきたいと切に願います。